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国内最安値を目指す、「Kindle」やLenovoのリチウム電池を作った台湾企業が日本へスマートグリッド(2/2 ページ)

リチウムイオン二次電池は、日本企業と韓国企業が世界市場の8割弱を握っている。ここに台湾企業が名乗りを上げた。台湾Lico Technologyだ。ラミネート型電池を手に日本市場へ参入、国内最安値を目指す。

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なぜ低価格化できたのか

 特長は低価格であること。1Ah当たり300円程度を予定する。低価格化を実現できた理由は3つあるという。「第1に大型の電池について、生産ラインの製造設備を自社で一から設計したことだ。生産ラインに置いた設備1つ1つが、電池をいかに安く製造するかを追求した設計になっている」(リコジャパン)。

 2番目の理由は、技術開発チームの組織運営を工夫したことにあるという。同社によれば日本の技術者と中国の技術者が組んだ場合、多くは日本側が中国側に一方的に技術を伝えるだけになりがちだ。だが、製造拠点は中国大陸にある(図2)。するとどうなるか。「(電池の)部材を選択する場面で、中国国内のものを使うという選択肢を、日本の技術者は好まない。中国の部材を使い慣れていないことに加え、品質を心配するからだ」(リコジャパン)。これでは日中が協力する意味が薄れる。


図2 Licoグループの拠点 台湾本社の下に日本の研究開発センターや中国大陸の生産拠点(山東省の煙台と広東省の深セン)、米国の販売拠点(図には示されていない)がある。出典:Lico Technology

 そこで、開発チームを中国と日本の2チーム制として、日本の技術を中国が改良するという形にした。「あえて教える、教わるという関係ではなく、日本側チームが作ったもの、そこに使われた技術をベースに中国側チームが自由に手を加えている。中国側は日本側よりも中国国内で流通している部材をはるかに熟知している。このため、安定した品質で、かつ低価格の部材に置き換えることができる。こうしてでき上がったものを日本側が評価し、品質に問題がないかチェックする形だ」(リコジャパン)。

 3番目の理由として、震災後の困難な状況にある日本に対して、グループ全体として応援したい思いがあるとした。

3種類の電池を販売

 リコジャパンが販売するラミネート型のリチウムイオン二次電池セルは、3種類ある*3)

*3) Lico Technologyは、日本以外の市場に向けて、容量0.8Ahから5Ah以上まで、約50種類のセルを販売した実績がある。

 容量別に3種類あり、5Ah品と10Ah品、20Ah品である。5Ah品は131mm×61mm×7.3mmと小さく、重量は120gだ。10Ah品の重量は240g。

 同社は社名(Lico)にもあるように、当初LiCoO2(コバルト酸リチウム)正極からスタートした。その後、LiMn2O4(マンガン酸リチウム)正極や、三元系、すなわちLiNixMnyCo1-x-yO2(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム)正極などを開発している*4)。今回の電池セルでは、三元系正極(とグラファイト系負極)を用いた。

*4) 現在、同社は正極材料開発の比重を下げており、主に他企業から材料を調達している。

 なお、リチウムイオン二次電池は一般に充放電の管理が難しく、不用意な充放電は電池寿命や安全性の低下を招く。特に充電電圧値の管理が欠かせない。そこで、電池に充放電制御回路、ケースを付けた電池パックでの販売も予定する。

修正>記事の公開後、注4を追加いたしました。


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