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太陽光発電が石油火力を代替するのはいつ?環境技術 記事ランキング(2)(1/2 ページ)

@IT MONOist 環境技術フォーラムでアクセスが多かった記事を隔週で紹介します。今回の集計対象期間は、2011年12月12日〜25日です。

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太陽光発電が石油火力を代替するのはいつ?
核融合で燃える太陽

 「環境技術 記事ランキング」では、@MONOist 環境技術フォーラムでアクセスが多かった記事を隔週で紹介しています。今回の集計対象期間は、2011年12月12日〜25日です。

 今回は上位を太陽電池関連の記事が固めました。例年、太陽電池が盛り上がるのは夏季なのですが、2011年は震災のために、展示会「PV Japan 2011」の開催スケジュールが7月から12月へ変更になるなど、冬季に入っても太陽電池への関心が続く環境が影響しているのでしょう。

 第1位となった記事では、太陽光発電システムなどを利用すれば、ビルであっても消費エネルギーより生産エネルギーを高められることを紹介しました。このような計画は現実的なのでしょうか。

 2011年現在、米カリフォルニア州やハワイ州など日照条件のよい地域で、太陽光発電システムが生み出す電力コストが家庭用電力コストと等しくなるグリッドパリティに至っています。世界各地でグリッドパリティを達成していけば、このようなビルが林立することでしょう。

太陽光発電が石油火力を代替するのはいつ?

 太陽電池の変換効率が上がり、生産コスト、設置コストが下がっていけば、いずれは火力発電を代替できる程度に低コスト化すると予測されています。そうなるのはいつなのでしょうか。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が震災前の2009年に公開した「太陽光発電ロードマップ(PV2030+)」では、太陽光発電システムの発電コストは、家庭用電力料金(23円/kWh)に達した後、2020年に業務用電力料金(14円/kWh)を目指し、2030年には汎用電源料金(7円/kWh)を実現することを目標としています(図1)。つまり、NEDOのロードマップでは2030年ということになります。


図1 太陽光発電のコスト低減目標 上図の縦軸は発電コスト。2010年以降の時点で家庭用電力料金まで太陽光発電のコストが下がる。化石燃料を使用した発電所と同等の発電コスト(7円/kWh)に至るには現在実用化されていない新規な太陽電池が必要だとしている。出典:NEDO

 2010年時点で世界の太陽電池導入量の8割を占めるのが、欧州です。となれば、欧州におけるコスト分析を引用しないわけにはいきません。

 2011年9月にドイツで開催された太陽電池の学会・展示会「26th European Photovolta Solar Energy Conference and Exhibition」(EU PVSEC)では、欧州の太陽電池業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)が欧州における太陽光発電のコスト予測を発表しています(図2)。

 発表資料によれば、2011年現在の発電単価は14〜32ユーロセント/kWh(約14〜32円/kWh)。つまり、地域や設備によっては既に家庭用電力料金はクリアしており、NEDOのいう業務用電力にも追い付いています。2018年の予測値を見れば、8〜20ユーロセント/kWhとなっていますから、NEDOの最終目標となっている汎用電源料金に至る設備が、2018年には登場することになります。


図2 欧州における太陽光発電のコスト予想 発電コスト(LCOE:Levelized Costs of Electricity)に幅がある理由は、複数ある。規模の異なる4種類のシステムを想定していることや、地域により日照条件が異なることが理由の1つだ。他にも地域によって、システム導入コストや運用コスト、加重平均資本コスト(WACC)や付加価値税が異なることが試算値に幅を持たせている。なお、この予想では新規技術を用いた太陽電池を見込んでいない。既に量産されている結晶Si(シリコン)太陽電池や薄膜系太陽電池を採用した場合の値である。出典:EPIA

 日本の日照条件は、欧州よりも良い(関連記事:成功するメガソーラーの条件とは、日本商社がドイツで取り組む)ため、NEDOの予測はEPIAの予測と比べるとかなり控えめだということが分かります。長くなりましたが、日本でも太陽電池が石油火力を代替可能で、エネルギーを生み出すビルも実現可能、という結論になります。

 今回のランキングでは、メガソーラー関連の記事に対する関心の高さも浮かび上がりました。

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