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発電所になるビルしか生き残れない、東芝など8社がフランスで実現スマートグリッド(2/2 ページ)

フランスなどEU各国のエネルギー利用目標は、日本や米国の計画に比べると意欲的だ。例えば、2020年以降に建設されるビルは全てエネルギーを生み出すビルにしようとしている。再生可能エネルギーや電気自動車、エネルギー管理システムを結び付けて未来の都市を実現する。

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EVの導入だけではない、使い方も工夫

 2番目のタスクはEVだ。グランドリヨン共同体の発想は、他の大都市の参考になるだろう。新街区を建設すると企業や住民の移転が起こり、一般には地域内の交通渋滞が悪化する。さらに駐車スペースが不足し、排気ガスによる環境悪化が起こる。これは当然だろう。そこで、EV、さらにEVによるカーシェアリングを導入する。

 エネルギー自給のために住宅やビルに設置した太陽光発電システムとEVを組み合わせて、太陽光の余剰電力対策とEVの大量充電による電圧低下を一挙に解決しようというアイデアだ。

 なお、フランス国内ではパリで既にEVのカーシェアリングが実現されている。リヨンでは太陽光との組み合わせを模索する点がより優れている(関連記事:パリがEV先進都市に変身、3000台のシェアリングに取り組む)。

 三菱自動車工業とフランスPSA Peugeot Citroënが30台のEVを提供、普通充電器30台と急速充電器3台を置く。EVカーシェアリングサービスは、フランスVeolia Transdevが担当する。μEMSを使った発電予測、充電制御を中核に、太陽電池モジュールの発電情報とカーシェアリングスケジュールの最適化を組み合わせるという。

HEMSでは水道、ガスも取り込む

 HEMSを使った家庭内の電力モニタリングは、スマートグリッドに不可欠な技術だ。グランドリヨン共同体の実証事業では、既設住宅も取り込み、100〜200世帯を対象とする。住宅全体をひとくくりに測定するのではなく、多回路レコーダーを使って、分電盤のフィーダ単位で計測する(図3)。その際、水道メーターやガスメーターの情報も組み合わせる点が、先進的だ。

 実証サイトでは、フランスの住宅公社であるGrand Lyon Habitatが協力する。


図3 HEMSの構成 家全体の消費電力ではなく、分電盤のフィーダ単位で測定し、ガス、水道の情報も集める意欲的な内容だ。フランス「Linky Project」で導入を予定しているスマートメーター「Linkyメーター」と併置する。出典:NEDO

スマートグリッドの核も作る

 以上紹介した3つのタスクを結び付けるハブとなるが、CMS(Community Management System)だ(図4)。ビル内に設置したBEMSやHEMSからの情報とEVを担当するμEMS、一般住宅に置いたHEMSの情報を統合し、グランドリヨン共同体全体と情報を共有する。今後フランス国内でポジティブエナジービルディングを広める際に必要な指標となる。


図4 4つのタスクとCMSの関係 エネルギーを出力するビル(Task1)と、EVのカーシェアリング(Task2)、住宅に設置したHEMS(Task3)を統合してCMSが街全体の電力情報を管理する。出典:NEDO

世界各地でスマートコミュニティーを実証

 NEDOの委託事業は、リヨン市だけではない。国内でも4地域を対象に既に始まっている(関連記事:スマートグリッドの実証実験、横浜市など4地域で開始へ)。

 海外でも米国ニューメキシコやハワイでのNEDOの実証事業が始まっており、今後、スペインマラガ市や中国共青城での実証事業を開始する予定だ。


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