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電力を液体に変えて備蓄、南極昭和基地でも再生可能エネルギー:スマートグリッド(2/2 ページ)
風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、出力が変動しやすいという欠点がある。南極ではこの問題が日本国内以上に深刻だ。日立製作所が開発したシステムは、風力発電を使って水素を生成し、これを別の物質と化合させて液体として蓄えることで長期的な出力変動の課題を解決した。
システムの全体像は以下の通り。まず、風力発電機で発電した電力を水分解装置に通じて水素を得る。「1時間当たり480Lの水素生成能力がある」(日立製作所)。その後、溶媒の一種であるC7H8(トルエン)に水素を添加して反応させ、MCHの形で備蓄する。電力が必要になったときには、MCHから水素を分離し、その後、水素を軽油と混合してディーゼル発電機を駆動するという仕組みだ(図2)。
図2 MCHを利用したエネルギー備蓄・回収システム 水素を経由して電力を液体燃料の形で備蓄できる点が優れている。日立製作所は技術の詳細を公開していないものの、MCMから水素を取り出す際の反応速度を高めるため、Pt(白金)微粒子などの触媒を利用していると考えられる。出典:日立製作所
国立極地研究所は、今回納入するシステムを使って、2011年11月から2012年3月までの期間、秋田県の南西部、日本海に面するにかほ市(図3)で実証実験を進める予定だ。国立極地研究所が設置した風力発電機と接続して基礎データを取得する*4)。
*4) にかほ市にある、仁賀保高原ひばり荘南側の駐車場付近に用意した垂直軸型20kW風車を使う。なお、にかほ市は風力発電に適した立地であり、にかほ市の南東部、鳥海山の北山ろくには、電源開発が所有する仁賀保高原風力発電所(出力2万4750kW、1650kW×15基)などが設置されている。
試験運転では製造した水素を出力3kWの発電機に投入して試験運転を行う予定だ。なお、昭和基地への設置に関しては、今後、別途受注契約を結ぶ必要があるという。
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