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彼らがいれば、日本のモノづくりは大丈夫だね!車を愛すモノづくりコンサルタントの学生フォーミュラレポ(後編)(1/3 ページ)

自分たちの車両が走る姿を見れば、つらかったことも一気に吹き飛ぶ! 日本のこれからを担う若者たちの活躍を紹介。

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 去る2011年9月5〜9日に静岡県袋井市の小笠山総合運動公園(通称エコパ)で開催された第9回全日本学生フォーミュラ大会のレポートの前編はいかがでしたか? 今回はその後編です。またお楽しみいただければ幸いです。

*車両のスペックなどは全て大会パンフレットからの引用で、本戦時とは異なる場合があります

編集担当小林:今回も「関さんのアシスタント」ということで少しだけコメントでお邪魔します。



【No.42】豊橋技術科学大学

豊橋技術科学大学
豊橋技術科学大学の車両

 チームリーダーは藤島達也さん。2011年のテーマは「Basic for Perfect」。「コーナリング」「パワーウェイトレシオ」「ドライバビリティ」という基本性能の向上を目指し、カーボンモノコックボディは2009年度車両と同じフォルムで、ノーズコーンやサイドポンツーンが別体というのも昨年の2010年度車両と同様ですが、積層工程やインサートの見直しで500g軽量化したそうです。

 4年前(2007年)に部室に作った設備でカーボンパーツを積極的に製作していて、エントリー時点ではカーボンホイールも完成予定でしたが間に合わず。2012年度車両ではぜひ採用したいとのこと。パワフルなホンダCBR600RRのエンジンにカーボンホイールによるバネ下荷重の減少はきっと高いパフォーマンスを発揮してくれることでしょう。

 昨年は車検を通すのに手間取り、アクセラレーションとスキッドパッドに参加できませんでしたが、今年は全ての審査に参加しました。結果はエンデュランスとオートクロスが振るわず、前年とほぼ同じ順位の43位でしたが、“カーボン武装”の来年に期待しましょう! ちなみに私、昨年に豊橋技術科学大学で「デジタルモノづくり」の特別講義をしたので、このチームも応援したいですねぇ(笑)。


編集担当小林:カーボンモノコック車両を日本の大会で初めて持ち込んだのは、豊橋技科大です。部室に積層・成形の設備まであるのですね。日本大会では、モノコックの車両はほんの少しです。


【No.48】大同大学

大同大学
大同大学の車両

 チームリーダーは、伊藤光さん。2011年度車両の大きな進化ポイントは、サスペンション周りの軽量化と、電動パドルシフトの採用。軽量なヤマハ「WR450F」のエンジンを使用しているので車体の強度も十分確保されており、サスペンション周りも大幅に軽量化したとのこと。

 参加当初から使用しているWR450Fのエンジン、ジェネレータの発電能力が不足していることに今年初めて気が付き、社外キットを使用して対策、セルスターターの信頼性を上げました。しかし今度はスターターギアのかみ込みが頻発するというトラブルを抱えてしまい、エンデュランスでのトラブルが心配でしたが(2005年度の大会で完走して以来、リタイヤが続いていました)、見事完走し順位も20位、燃費でも5位という好成績で総合28位と昨年より20位のランクアップ! おめでとうございます!

 カウルはもっと空気抵抗の少ないデザインにしたいけれど、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の積層技術がなかなか上がらないため、昨年と同じデザインにしたそうです。来年へのテーマの1つですね。

関連リンク:
DU DFP Website

編集担当小林:大同大学は、フォーミュラのチーム活動が卒業研究になるようです。チームブログは、「しょうがなく更新」感をかもしつつの、ゆる〜い感じですが、内容からチームメンバーたちの仲の良さがうかがえます。チームワークが非常に大事なこの大会。ケンカしたら、卒業できないからでしょうか!?


【No.10】茨城大学

茨城大学
茨城大学の車両

 チームリーダーは、宮田達也さん。2009年度大会は8位、2010年度大会は総合10位と言う好成績を残している茨城大学ですが、当然その順位に満足はしておらず、フルモデルチェンジの車体を製作して今大会に臨んできました。今年のコンセプトは「旋回性能の向上」。昨年の弱点だった「コーナリング時のトラクション抜け」を、車体全体のジオメトリ変更と、足回りを含むフレームの剛性アップ、そして他の細かい部品に至るまで全てのパーツの見直しで対策したということです。

 そのかいあってアクセラレーション5位、スキッドパッド3位、オートクロス5位という素晴らしい成績を収めましたが、エンデュランス直前の練習走行で左前輪が外れるというメジャートラブルが発生! 現地で修理してから出走したところ無事完走し26位に入りました。そして総合成績は過去最高の7位! 来年は一桁(けた)ゼッケンへ復帰ですね! おめでとうございます!


編集担当小林:茨城大の日立キャンパスは、2011年3月11日の大震災の日、震度6強の揺れに見舞われたそうです。モノづくりの街でもある日立市ですが、メーカーさんたちも厳しい状況にもかかわらず、今年も変わらずスポンサードしてくださったとのことでした(この大会の、3月の震災の影響については記事後半に)。


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