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リニアと太陽電池の不思議な関係小寺信良のEnergy Future(8)(1/4 ページ)

東京と大阪を結ぶリニアモータカーの姿が見えてきた。一方、時速517kmを達成した宮崎県のリニア実験線は既に廃線となっており、実験には使われていない。ここに太陽光発電所を建設し、新しい形によみがえらせようというプロジェクトが完成した。

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 本連載の第6回目では、国際航業グループが群馬県館林市に設立した「館林ソーラーパーク」を取材した。自社の社屋や敷地を使わなくても、自社用の中規模太陽光発電所を設置できる、そのような手法を紹介した(関連記事:我が社の太陽光発電所を作るには)。

 今回は同社が宮崎県に置いた「宮崎ソーラーウェイ」を取材する機会を得た(図1)。2011年10月16日、同施設がある都農(つの)町で「ワイン祭り」が開催され、合わせて発電所内が一般に公開された。これに便乗して中を見せていただいたわけである。

 宮崎ソーラーウェイは世界でも類を見ないユニークなメガソーラー施設である。だがその話の前に、「リニアモーターカー」の話をしておかなければならない。


図1 宮崎県と都農町の位置 太平洋に面した暖かい土地柄である。

 宮崎件都農町には1977年に開設された、リニアモーターカーの実験用線路がある。最初は1.3kmにすぎなかったが、1979年には計画上の全線である約7kmの線路が完成した*1)。海岸線を走るJR日豊本線に並行する、ほぼ直線の高架である。

*1)1979年、7kmの線路上で時速517kmの世界記録を達成している。

 この実験線は旧国鉄時代には鉄道技術研究所に所属していたが、分割民営化された後は鉄道総合技術研究所(JR総研)の持ち物になっている。1997年に山梨リニア実験線が新たに開設されて、宮崎実験線は事実上廃線となった。

 宮崎ソーラーウェイは、この高架の上にソーラーパネルを直線状に配置した太陽光発電所だ。幅は約4mしかないのに全長が約4kmにも及ぶ細長い発電所は、当然のことながら世界最長である。

宮崎の宮崎による宮崎のための発電所

 宮崎ソーラーウェイの誕生に当たっては、宮崎県が2004年から2013年までの実施計画とした「宮崎県新エネルギービジョン」が先にあった。新エネルギーといってもいろいろあるが、中でも重点分野である「みやざきソーラーフロンティア構想」は、一年を通して日照時間が長い宮崎の地の利を行かし、宮崎県内で太陽光発電の製造・発電・活用を進めるというものだ(図2)。


図2 「みやざきソーラーフロンティア構想」の概要 製造・発電・活用の三拍子そろった太陽光発電の拠点づくりをうたっている。

 この計画の一環としてメガソーラー施設の建設が県で検討された。そこに無用の長物と化していた実験線を持つ都農町と、海外でメガソーラー施設の開発や施工、運用までのノウハウを持っていた国際航業グループの3者が組んで、宮崎ソーラーウェイの建設が始まった。

 施設の持ち主は、国際航業グループの子会社、宮崎ソーラーウェイである。実験線はJR総研の持ち物だが、都農町が無償で借り受けており、それをまた宮崎ソーラーウェイのために無償で提供している。従って土地代はゼロである。

 宮崎県は補助金として2億5000万円を交付し、残りは国際航業グループの資金を使った。設計、施工まで含め、全体で約6億円をかけて建設された。

 宮崎ソーラーウェイは2段階で建設された。まず第1期計画ともいえる「都農第一発電所」は、実験線の南の端から約260mの区間に設置されている(図3)。実験的な要素の強い発電所で、宮崎の気象条件に対してどの発電モジュールが適切かを評価した。多結晶シリコン型、薄膜シリコン型、CIS化合物型という3種類の太陽電池モジュールを3ブロックに分けて設置している。太陽電池モジュールの総数は442枚で、合計50kWの発電能力を持つ。既に2010年3月に運転を開始しており、当時はさまざまなメディアで取り上げられたようだ。


図3 都農第一発電所 実験線南端から約260mの区間に設置された実験的な要素の強い発電所である。

 実験の結果を生かして、次に都農第二発電所が設置された。どのような発電所になったのだろうか。

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