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パリがEV先進都市に変身、3000台のシェアリングに取り組む電気自動車(2/2 ページ)

パリ市は都市交通問題を解決するために、Autolib計画の運用を開始した。1000カ所のステーションに3000台のEVを配置し、低額でシェアできるようにする。この規模の取り組みは世界的にも例がない。国内では大阪府が日本版Autolib計画を進めている。

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台数だけではなく、サービス内容も意欲的

 Autolibの最大の特長は、EVを借りたそもそものステーションに返却する必要がないことだと、パリ市は強調している。つまり1方向のサービス利用が可能であり、EV返却のために、無駄な時間を使うことがなくなる。

 EVを借りるにはどうすればよいのだろうか。まず、ステーションに向かう。2012年にはステーションに到着する20分前からリモートでEVの予約ができるようになる予定だ。EVの貸し出しは24時間可能で、週末も利用できる。貸し出しはセルフサービスだ。

低価格でサービス定着を狙う

 料金体系はどうなっているのだろうか。Autolibは公共都市交通システムを補完するよう設計されており、1日当たり最大2〜3時間利用したときに最も割安になるように考えられている。どの料金プランを選んでも、充電料金は不要だ。

 料金は4種類のプランに分かれており、どれも基本料金(会費)と時間料金からなる。「PREMIUM SOLO 1 AN」はヘビーユーザー向けのサービスで、年間144ユーロ(または月間12ユーロ)の基本料金。最初の30分の時間料金が5ユーロ、次の30分が4ユーロ、その後、30分ごとに6ユーロだ。日本円に換算すると、年会費が1万5000円、最初の30分が500円という計算だ。

 まれにしか利用しないユーザーには、24時間有効な10ユーロの基本料金を支払い、30分ごとに7ユーロという「DECOUVERTE 24H」プランが用意されている。

 この他、EV(Eバイク)を私有しており、ステーションの充電インフラだけを利用できる料金体系もある。

日本版Autolibも始動

 オリックス自動車と日本ユニシス、イード、ジェーシービーは「電気自動車(EV)による日本版Autolibに関する技術開発」が、環境省の2010年度地球温暖化対策技術開発等事業に採択されたことを受け、2011年1月から、大阪府の協力の下、電気自動車共同利用事業プロジェクトを発足している。対象地域は大阪府内だ。

 オリックス自動車は充電インフラシステムと連携したカーシェアリングシステムを開発し、日本ユニシスは、各システムと連携した充電インフラシステムを開発する。イードは充電場所情報提供システムの開発に当たり、ジェーシービーは環境省が推進する「エコ・アクション・ポイント」との連携を進める。

 「Autolibのように車を借りたステーションとは異なる任意のステーションに返却できるマルチポートシステムは、カーシェアリングの仕組みとしてハードルが高く、成功事例がほとんどない。まずはワンウェイ(乗り捨て)運用ロジックの開発を進める」(オリックス自動車レンタカー営業本部レンタカー統括室で低炭素化推進担当部長を務める高山光正氏)。

 「大阪府内の既存のサービスステーション以外の26カ所に各種の充電器を配置した。1枚のカードで系列の異なる充電スタンドを相互利用可能にする取り組みも進めている」(日本ユニシス エネルギー事業部で次世代ビジネス部長を務める竹田幸博氏)。「1回の平均充電量は8〜10kWhだということが利用データから分かった他、充電器の設置位置を事前に調査したにもかかわらず、利用頻度が全く増加しない場所と、数十倍に伸びる場所に分かれた。充電器の利用統計情報はまだまだ不足している」(同氏)。


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