検索
連載

我が社の太陽光発電所を作るには小寺信良のEnergy Future(6)(2/3 ページ)

企業が自家用の太陽光発電所を設けるとどのような利点があるのか、どのように建設すればよいのか、低価格化の工夫は何か、小寺信良氏が群馬県館林市の「館林ソーラーパーク」に迫った。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

館林ソーラーパークの設備とは

 では実際に館林ソーラーパークの設備の細かいところを見ていこう。まず採用した太陽電池モジュールはHyundai Heavy Industries(ヒュンダイ)の単結晶シリコン型「HiS-S245MG」だ(図2)。

ヒュンダイの太陽電池モジュール
図2 採用した太陽電池モジュール 太陽電池モジュールの裏面を撮影した。

 変換効率は約15%で、宮崎ソーラーウェイで採用したソーラーフロンティアのCIS薄膜型に比べると、5ポイント程度高効率だという。今回の敷地面積ではより面積に対する効率を求めることが重要で、同効率でも国産モジュールに比べて廉価なことが採用の理由としている。

太陽電池アレイ
図3 太陽電池アレイの構成 太陽電池モジュール60枚を1つのアレイとしてまとめている。

 このモジュールを縦4枚、横15枚つないで60枚を1つのアレイに乗せた(図3)。トータルでは31アレイ、合計1860枚のモジュールがこの敷地内のほぼいっぱいに並んでいる。

設置角
図4 太陽電池の設置角 20度に設置した。

 設置角は20度(図4)で、15度以上の設置角を付ければホコリなどが堆積する心配はないため、ほぼメンテナンスフリーだという。なお、宮崎ソーラーウェイの設置角は、10度だそうである。北半球では南に行くほど太陽が高くなり、角度が付けられなくなる。

接続箱
図5 電力を集める接続箱 アレイごとに接続箱が必要だ。

 電力はアレイごとに「接続箱」と呼ばれるボックスに集められる(図5)。その後、直流集電盤に集まる(図6)。31基のアレイは4つのブロックに分けられており、それぞれのブロックごとに直流集電盤に集められたのち、2基のインバータで交流に変えられる。館林ソーラーパーク全体の最大発電量は445kWで、インバータは2基合わせて500kWまで対応できる。

直流集電盤
図6 直流集電盤 複数の接続箱から電力を集め、インバータに送る機能をもつ。
インバーター
図7 インバーターの外観 館林ソーラーパークには2基のインバーターを設置した。1基当たりの容量は250kW。

 インバータの出力は440V(図7)。送電の都合に合わせてトランスで6.6kVに昇圧したのち、送電線に乗せている(図8、図9)。館林市も府中市も、東京電力のサービスエリア内であるが、東京電力に直接電力を送るには、特別高圧と呼ばれる20kV以上に昇圧する必要がある。しかし電気を受け取る側の府中事業所が特別高圧で受けていないため、東京電力に直接接続するのではなく、間に特定規模電気事業者(PPS)のエネットを経由して接続している(図10)。

変圧機
図8 構内に設けられた変圧器 440Vのインバーター出力を6.6kVに昇圧する。
変圧器の内部
図9 変圧器の内部 内部には巨大なトランスが鎮座していた。
PPS
図10 PPSとの接続 変圧器で昇圧した電力は特定規模電気事業者(PPS)経由で目的と接続する。

 構内には日射計(図11)や温度計、監視カメラなど複数のセンサーが設置されており、それらの情報とインバータの電力情報を現場に設置したワークステーションでデータ処理(図12)して、リモート監視(図13)できるようにしている。そのため、普段は無人であるという。

日射計
図11 日射計 構内には日射計が設置されている。
データ処理
図12 データ処理装置の様子 各種センサーからの情報を現場でデータ処理する。図左下にはワークステーションが見える。
リモート監視
図13 監視にスマートフォンを利用できる スマートフォンやPCを使ってリモート監視が可能だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る