インドが狙う太陽光発電、ゼロからコスト重視で立ち上げる:世界の再生可能エネルギー(2)(3/3 ページ)
中国に続いてインドの再生可能エネルギーを報告する。インドのエネルギー状況は中国と似ており、総量が不足している上に急速な需要増にも苦しんでいる。さらに多数の無電化地域が残る。水力、風力の増設に加えて、インド政府は2022年までに20GWという太陽光発電導入を計画する。
安価な太陽電池を選択
政策の変更を受けて、太陽光発電システムの導入が増え始めている。
米First Solarは、2011年9月6日、インドReliance Powerに100MWの薄膜太陽光発電モジュールを提供することで合意したと発表した。インドにおける最大の太陽光発電プロジェクトとなる。
Reliance Powerは2011年末までにまず40MWの薄膜太陽光発電モジュールの供給を受け、インドのラジャスタン州に位置するジャイサルメール(Jaisalmer)太陽光発電所*5)を建設する(図2)。同発電所は約900km離れたインドの1000万都市ムンバイに電力を供給する。ムンバイはインド最大の商業都市でもある。2012年内に残りの60MWの供給を受ける予定だ。
*5)ジャイサルメールは、インド・パキスタン間に広がるタール砂漠内にあるオアシスに起源がある。
米輸出入銀行は2011年8月25日に、最初の40MW分の太陽電池モジュールを購入するための資金8430万米ドルをReliance Powerの子会社であるDahanu Solar Powerに直接融資している。
First SolarのCdTe薄膜太陽電池は、インド市場に適していると考えられる。出力1W当たりの製造コストが1米ドルを下回っており、全ての太陽電池の中で最も安価に成り得るからだ。
同社のCdTe薄膜太陽電池の変換効率は11〜12%であり、Si(シリコン)太陽電池の16〜20%と比べると低い。しかし、住宅の屋根上ではなく、砂漠地帯のメガソーラーとして利用するため、変換効率は問題になりにくい。
次回は、米国と中国の関係を紹介する。
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