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「乗り心地が最悪」という常識を打ち破る電気自動車 SIM-LEI(4)(3/3 ページ)

SIM-LEIはタイヤの内部にインホイールモーターを備えたことで、333kmという走行距離を実現できた一方で、タイヤが重くなってしまった。一般にはタイヤまわりが重い車は乗り心地が悪くなるといわれている。この問題をどう解決したのだろうか。

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駆動力を伝えるサスペンション

 リアサスペンションの開発では、インホイールモーターの強力なトルクを車体にいかに伝えるか、タイヤからの振動入力をいかに防ぐかという2点に腐心した。

 具体的には、トルクの伝達を良くするため、トレーリングアームを2本設けた他、加速、減速時に車体姿勢があまり変化しないようにアームの配置を構成した(図6図7)。

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図6 リアサスペンションの構造 トレーリングアームを2本設けている。出典:SIM-Drive

 車輪から入ってくる振動入力やモーターのトルク変動を抑えるためには、トレーリングアームの前方を二重防振構造にすることで対応できたという。

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図7 完成したシャーシの全体像 フレームやボディー、内装品などを省いた図である。ガソリン車に見られるような車体中央前後に走る車軸やデフなどの重い部品が見あたらない。ホイールまわりだけでシャーシが完結していることが分かる。出典:SIM-Drive

最後の決め手は新開発タイヤにあり

 このようにして快適性や安全性を高めた一方、走行距離を伸ばすための開発にも成功した。「333kmの走行目標を実現するには転がり抵抗が小さなタイヤが必要不可欠だった」(吉田氏)。タイヤ開発は、SIM-Driveの8輪EV「Eliica」の開発当時から協力関係にあるブリヂストンに依頼した。

 ブリヂストンが開発したタイヤは、従来の実用タイヤの転がり抵抗を約半分に低減した超低転がり抵抗タイヤであり、操縦安定性と乗り心地がよく、雨天などのウェット性能に優れている。18%の軽量化も達成できたことから、実用性の高いタイヤだと吉田氏は評価している。

【訂正】記事の掲載当初、ブリヂストンの表記が1カ所誤っておりました。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。


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