機器をカラダで操作するジェスチャ入力に注目してみた:組み込みイベントレポート(1/2 ページ)
カメラ/センサによる画像認識技術・ジェスチャ認識技術に注目。CEATEC 2010会場で披露された展示・デモの様子を動画を交えて紹介する。
各メディアが報じているとおり、今回のCEATECでは家電メーカーが注力する最新の3Dテレビ/レコーダのほか、スマートフォンの最新機種やモバイル関連技術などに注目が集まっていた。@IT MONOist「組み込み開発」フォーラムでは今回、そんな華のあるコンシューマ関連製品ではなく、あえて(?)組み込みシステムの要素技術として、カメラ/センサによる画像認識技術・ジェスチャ認識技術に注目してみた。
ご存じのとおり近年、カメラ/センサを用いた技術・ソリューションは、セキュリティ(自動車/ホーム・オフィスなどの)関連だけでなく、コンシューマ分野、アミューズメント分野などにも広く使われている。また、家庭用ゲーム機の分野では、マイクロソフトの「Xbox 360 Kinect センサー」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「PlayStation Move」などが発表され、ジェスチャによる操作がより身近なものとなってきた。このように応用の幅が広がりつつあるカメラ/センサによる画像認識技術・ジェスチャ認識技術。CEATECの会場でも自動車向けのモニタリングシステムからジェスチャによる機器操作など、さまざまな技術が展示・デモされていた。以降でその模様をお届けする。
トヨタに採用された全周囲立体モニタシステムとは?
富士通のブースでは、ドライバーの安全を視覚によりサポートする「全周囲立体モニタシステム」のデモを実施していた。同システムは、富士通研究所が開発した技術(全周囲立体モニタ技術)を基に開発されたもので、車両に搭載された4つ(前後左右)のカメラ映像を3次元モデル上で合成することで、車両周辺の全方位を自由な視点で表示できるというもの。従来技術の場合は、2次元による合成で車両の上方からの視点のみが一般的であったために、車両周辺の物体などの形状が分かりづらく、障害物や歩行者の認識などが困難であった。しかし、同システムであれば、状況に応じ視点変更(360度)が可能なため、周辺の物体の形状、例えば周辺車両や歩行者を認識しやすく、安全性のさらなる向上に貢献できるという。
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同システムには、前述の富士通研究所の画像処理技術のほか、富士通セミコンダクターの車載画像処理LSI技術、富士通テンの自動車向けHMI(Human Machine Interface)技術/車載化技術が活用されており、すでにトヨタ自動車のプリウス、アルファード、ヴェルファイアの3車種を対象としたディーラーオプション製品として発売されている。
また、富士通セミコンダクターから同システムの開発基盤となる3Dエンジン・グラフィックス・コントローラ搭載LSI「MB86R01」+FPGAを搭載した開発プラットフォーム(FPGAで4入力画像の画像前処理を行い、MB86R01で3次元合成処理、表示処理を行っている)および、全周囲立体映像の作成を支援するオーサリングツール、制御・表示を実現するミドルウェアなどが提供されている。
「ドライバーの支援のほか、応用例としてLTE(Long Term Evolution)を用いて全周囲映像を配信したり、またクラウド技術と組み合わせ遠隔地のリアルタイムな映像を好きな視点で確認することも実現できるだろう」と説明員はいう。
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車載機器もジェスチャでスイスイ操作
OKIセミコンダクタは、車載向け画像認識ソリューション「NEX@EYE」用のLSI「ML512010」のデモを行っていた。画像認識エンジンとMCUを内蔵したML512010は、入力画像の「動き」「直線」「大きさ」などの特徴点を検出し、これらの組み合わせで対象物を高精度に特定する画像LSI。また、同社独自の画像認識エンジンにより、ローパワー、高スループットを実現。VGAで60fps、QVGAで150fpsまでの画像認識に対応しているという。展示ブースでは、同LSIを用いた車載用途向けのデモと一般用途向けのデモが行われていた。
車載用途向けデモの1つは、後方の障害物検知を想定したもの。ステレオカメラの映像から障害物の距離を検知(2つのカメラ映像の視差から距離を検出)し、安全だと緑色、注意で黄色、危険だと赤色に障害物が縁取られてモニタに表示される。「後方の障害物検知なので5メートルくらいの短い距離を広い範囲で見る必要があるため、そのあたりの設計の工夫をしてある。さらに用途を絞ることでカメラをコンパクトにし、低コストで後方障害物検知を実現できるのが特長」と説明員。
2つ目は、ハンドシグナルによる機器操作のデモ。センターコンソール上に手をかざすと、上方の赤外線LEDカメラでその手が“グー”か“パー”かを検知。手の形状と動きにより、非接触で機器(カーナビを想定)を操作するイメージを紹介した。
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車載用途向けデモの3つ目は、一般道を撮影したカメラ映像から白線を自動認識するというもの。白線を認識することで、自分の走行レーンが定義でき、レーンからはみ出していないかなどを評価できるという。「走行位置・レーンの認識は、米国で実施されているNCAP(New Car Assessment Program)の評価項目に含まれているので今後需要が見込まれる」(説明員)とのこと。
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また、一般用途向けのイメージとして、ジェスチャによるマウス操作のデモを行っていた。こちらのデモは前述のハンドシグナルのデモに近いもので、手の動きと形状を認識し、ジェスチャで画像ファイルを開いたり、ファイルをゴミ箱に移動したりするデモなどを実演していた。PC、家電、アミューズメント、知育玩具、電子楽器などをコントロールするインターフェイス用途や、パーソナルセキュリティ用途などでの応用展開も可能だという。
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