【解説1-2】円筒部分や細部を作り込んで完成!:きゃどりる(4)
今回も【問題1】について、細部の作り方を解説します。あともう少しで完成! 記事末では正解データもダウンロードできます
前回のきゃどりる(3)は、第2回で出題した問題のうち、ベース部分の作り込みについて解説しました。今回は細部の作り込みに入ります。記事後半、解説終了後に正解の3次元モデルデータがダウンロードできます。あともう少しだけ、説明にお付き合いください。
円筒部の作成
筆者の場合、この部分を見て回転を使って形状作成するよりも、「押し出し」と「ロフト」を使って作った方が簡単だと判断しました。結果、図5の形状にしたかったからです。
その理由としてA部は段違いであるため、後にフィーチャーをカットもしくは形状を追加することが必要になるからです。また、B部は回転でもいいのですがB部を作成したときに作成する面Aを使えばロフトで簡単に作成できると考えたからです。
与えられた寸法より面A(点OよりZ座標+23)を作成し、その面にφ90の円をスケッチし、上方に押し出します。次に面Aにφ90の円をスケッチし、点Oの面にφ82の円をスケッチします。両方のスケッチを使いロフトでB部を作成します。
内部形状の作成
内部形状は図6に示すように、与えられた寸法で断面をスケッチし「回転」のカットで作成します。
座ぐりや面取りの追加
最後に、細かい箇所の作り込みです。
- 20度の面取り
- 2×φ3
- 4×6キリ、10深座ぐり深さ5
- フィレット
以上を追加して、完成!
座ぐりの図面表記について
「深座ぐり」は、おねじを締めつけた際、おねじの頭が出っ張らないように、その頭の部分が隠れる深さまで穴を開けるもの。同じ座ぐりでも、“深”座ぐりと表記のないものがありますね? これはおねじの頭が隠れる穴を開けるものではなく、おねじをしっかりと締め付けられるよう、表面を平らに仕上げることを指します。鋳物などの場合、表面が凸凹していることが多いので、あまり凸凹しているとおねじを締めても緩んでしまいます。そのため、表面を平らに仕上げます。図面の中には「座ぐり」と表記しますが、図としては表記しないケースが多いようです。
いかがでしたか? 新たな発見はありましたか? 最近の3次元CADは常に進歩していますし、もし解説より簡単に作れる方法があれば、筆者やMONOist編集部にコメントをお寄せください!
正解の3次元モデルデータは、以下からダウンロードできます。
- STEP(AP203)*538kB
- STEP(AP214)*180kB
- IGES *180kB
みやしろからのチャレンジ課題
例えば、こんなことをしてみてはいかがでしょうか。
- 前項のモデルを全てサーフェスで作ってみる
- 前項のモデルをブーリアン演算(集合演算)で作ってみる
筆者が3次元CADを使い始めたころ、モデリングに必要なサーフェス、ブーリアン演算の練習として、さまざまな形状を作りました。本来は厚み付けで処理できる形状もあえてサーフェスとブーリアン演算を用いて作っていました。おかげさまで、モデリングの際あまり困ることはなくなり、形状を作るうえで、作り込みの手順まで最初に考えられるようになりました。皆さんもこのような練習にぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
次回は、新しい問題を出題します! お楽しみに。(次回に続く)
編集部より
この記事は3次元CADのオペレーション初心者向けとして、社団法人コンピュータソフトウェア協会主催「3次元CAD利用技術者試験」(平成20年度前期に実施された1級問題)の出題内容と解法を紹介しています。
この記事で紹介する3次元モデリングの作業ステップは、実際の設計事情や加工方法を考慮していない場合がございます。また当然ながら、実際の設計においては作業の手数を減らすことが重要であるとは限りません。
記事で提示する解答だけが正しいとは限りません。複数の解答パターンがある場合もありますが、記事で紹介するのはあくまでその1つとお考えください。
あらかじめご了承いただければ幸いです。
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