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再発防止アプローチによる品質マネジメント改革いま考えるべき品質マネジメント改革(3)(6/6 ページ)

グローバル設計・開発では品質保証部門が品質マネジメントプロセスの運用スキルを持つべきだ。NECの実践例を参考に検討を

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NECの品質&開発プロジェクトマネジメント事例

 最後になりますが、ここまで説明したアプローチを用いた当社(日本電気株式会社)の品質マネジメント改革の事例をご紹介しましょう。当社の場合、多品種化や開発期間短縮により、品質問題が増加し、いわゆる失敗コストが増大したことが改革スタートの背景でした。その対策のために、品質に関するチェックもれをなくす仕組みを導入しました。

 図8は、チェックリストによる品質マネジメントの仕組みのコンセプトです。社内の評価や客先トラブル情報を基に、「ワイガヤ式の問題解決」を行い、その結果を「問題点整理表データベース」に登録します。その結果を、次のプロジェクトで確認する項目としての「チェックリスト」に追加していきます。さらに「チェック,評価」を行い、問題が発生した場合は再度サイクルを繰り返し、チェックが完了したら「進ちょく情報」を更新する、というサイクルを実施します。この進ちょく情報を活用し、担当者別・装置別・マネジャー別の管理画面や帳票を半自動生成し、マネジメントに役立てています。

 プロジェクトマネジメントというと、WBSを作成し、進ちょくを記したガントチャートを連想することも多いのですが、品質確認の進ちょくをプロジェクトの進ちょくとしてマネジメントする方式も有効で、図1のフロントローディングのモデルに通じるものがあります。

図8 チェックリストによる品質マネジメントの仕組み
図8 チェックリストによる品質マネジメントの仕組み
(出典:勝つためのプロジェクトマネジメント,日経デジタルエンジニアリング2004.3,P.85)

 今回は3回の連載記事で、品質マネジメント改革に関する業界動向やコンサルタントが利用するツール、品質マネジメント改革事例などについて紹介してきました。この連載記事が、品質保証部門様の価値向上や日常の業務改善の何かのヒントになれば幸いです。


参考文献

・藤本隆宏「ものづくり論とソフトウェア −組織能力とアーキテクチャの視点から−」2006年9月
・「勝つためのプロジェクトマネジメント」『日経デジタルエンジニアリング』2004年3月
DSMweb.org
・齋藤 嘉則『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』「第2章2 ロジックツリーで原因を追求する」(ダイヤモンド社、1997年1月)
・芳賀 正彦『上級SEのためのビジネスモデリングテクニック』(日刊工業新聞、2004年8月)



筆者紹介

三河 進(みかわ すすむ)
NECコンサルティング事業部
http://www.nec.co.jp/service/consult/services/07.html
NCPシニアビジネスコンサルタント
システムアナリスト(経済産業省)
全能連認定マネジメントコンサルタント
PMP(米国PMI)

精密機械製造業、PLMベンダ、外資系コンサルティングファームをへて、現職。
専門分野は、開発設計プロセス改革(リードタイム短縮、品質マネジメント、コストマネジメント)、サプライチェーン改革(サプライヤマネジメント)、情報戦略策定、超大型プロジェクトマネジメントの領域にある。
自動車・電機・ハイテク・重工などのPLM・SCMに関する業務改革プロジェクトに従事中。
論文「モジュール化による設計リードタイムの大幅短縮」で平成20年度の全能連賞を受賞。


【おことわり】
本記事は執筆者の個人的見解であり、NECの公式見解を示すものではありません。



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