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品質要件マネジメント手法とフロントローディング開発いま考えるべき品質マネジメント改革(2)(1/6 ページ)

品質向上と開発期間短縮は同時に達成するには? 要件をモデル化するモデリングアプローチで品質を追い込むポイントを伝授

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度重なるリコール、回収騒動……。モノづくりの現場に何が起こっている? どうすれば顧客が満足するモノづくりができる? いま日本企業が考えるべき“品質”問題を語る(編集部)

≫前回「日本企業の市場問題管理とデザインレビューの水準」はこちら

品質向上と開発期間短縮は同時に達成するには?

 一見、相反すると思われる品質向上と開発期間短縮ですが、同時に両立するアプローチは存在するのでしょうか。筆者は、図1の“フロントローディング化による開発期間短縮と残存問題の削減モデル”にその答えはあると考えています。破線で書かれた現状の問題発見カーブと問題解決カーブに着目してみます。このモデルでは、プロジェクトに内在するすべての問題を解決すればプロジェクトは完了する、という考え方に基づいています。しかし、製品開発プロセスでは、ある時点で納期や出荷時期がやって来ます。すべての問題が発見されていなくても、もしくはすべての問題が解決されていなくても、顧客や市場に届けられてしまうことになります。図1の出荷のラインと問題発見カーブ(現状)、問題解決カーブ(現状)の交点が、それぞれ残存する未発見の問題数と未解決の問題数を示しています。

 それでは、残存問題を削減するには、どのようにすればよいのでしょうか? 答えは3つです。

  1. 問題発見を早期化する
  2. 問題解決時間を短縮する
  3. 既知の問題の知識移転を確実に行い、対策する

 これができれば、実線で描かれた問題発見カーブと問題解決カーブに向かって前方シフトさせることができます。この図では、出荷時点ではほぼすべての問題が発見され、解決されていることを示しています。この状態が達成できれば、この製品は市場に出てから不具合や問題を発生することはまずないと考えることができます。

 今回は、上記の「問題発見の早期化」に役立つ実践的手法やツールについてご紹介したいと思います。開発プロセス上流工程ですので、設計技術者の協力が必要ですが、品質保証部門の方々にもご理解いただき、品質改善業務にお役立ていただけると幸いです。

図1 フロントローディング化による開発期間短縮と残存問題の削減
図1 フロントローディング化による開発期間短縮と残存問題の削減
(Fujimoto, Takahiro. "Shortening Lead Time though Early Problem Solving - A New Round of Capability-Building Competition in the Auto Industry - ", Tokyo University Discussion Paper Series, 97-F-12. を基に独自作成)

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