手探りからの脱却!? ESECで見つけたAndroid技術:組み込みイベントレポート(2/3 ページ)
ESEC2010の会場で見つけたAndroid関連技術にフォーカス。そのほか、3D裸眼立体視や仮想開発環境などの注目技術も併せてレポートする!
タッチ操作でアプリ開発も可能!? Android版「ZIPC」
前述のNTTデータMSEのAndroid搭載レーザー式モバイルプロジェクタの開発に用いられていたZIPCのAndroid対応版「ZIPC for Android(仮称)」を、組み込みCASEツールで国内トップシェアを誇るキャッツが展示。従来のZIPCのコンセプトを継承しつつ「新たにAndroidアプリケーション開発向けに作り直したもの」(説明員)だという。
同製品は現在開発中ではあるが、C/C++版のZIPCと同じく、状態遷移表により設計・検証し、Javaのソースコードを自動生成することが可能。さらに、実機やエミュレータを接続すると、実行中の事象・状態が状態遷移表でハイライト表示され、仕様の不具合が見つけられるという特長を持つ。「Androidのアプリケーション開発にもモデルベース開発を推進していきたい」と説明員はいう。
ESECでは、金魚すくいゲームのアプリケーションを例に、アクションゲームのドメインに絞ったアクションゲームモデルを定義。描画更新のイベント、キャラクターの状態などアクションゲームに必須なモデルをあらかじめ定義しておくことで、選択式のUIにより状態遷移上で簡単に設計・開発が行えるようになるという。「選択式にしたことで、将来的にタッチインターフェイスでのアプリケーション設計・開発も可能になるのでは?」と説明員。
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Android搭載カラービットコードリーダ、CAN通信端末も
TDIプロダクトソリューションは、カメラ付きのAndroid端末でビーコアが独自開発した自動認識コード「カラービットコード」を検出・認識させるデモを行っていた。
ビーコアが提供するカラービットコード検出・認識エンジンを利用したAndroidアプリケーションを開発し、試作したもので、「2週間程度でAndroidのポーティングを実施した」と説明員。展示ブースでは、試作機に搭載されたカメラで撮影した画像からカラービットコードを認識し、そのコード(数値)を液晶画面に表示するとともに、コードに対応した画像を表示するデモを実演していた。
また同社は、CAN通信Android端末のデモも実施。加速度センサを内蔵した基板を動かすことで、X・Y・Z方向の加速度値をCAN通信でAndroid端末に送信。Android端末側で、CANバス上のデータと加速度センサの値を表示するというもの。「PCを用いなくてもAndroid端末でCANバス上のデータを見ることができる」と説明員はいう。
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コードはそのまま! iアプリなどをAndroidへ簡単移植
日本システムウエアは、独自開発したコンバートレイヤ技術により、他プラットフォームのアプリケーションのソースコードを変更することなく、Androidアプリケーションとして構築できる「Androidコンバートサービス」に関する展示デモを行っていた。
「現在、MIDP(Mobile Information Device Profile)アプリ、S!アプリに対応。今後iアプリ(Doja,Star)にも対応する予定」と説明員はいう。展示ブースでは、携帯電話向けに開発したパズルゲーム(MIDP)をコンバートし、Android端末上で動かすデモを実演していた。
「バイナリ変換ではないため、Androidプロジェクトへ変換後のソースコードの変更も容易。柔軟な拡張・修正が可能で、移植作業の低価格化・効率化を実現できる」(説明員)。携帯電話向けのアプリケーションは無数にある。開発元とすれば既存のアプリケーション資産をほかのプラットフォームにうまく流用したいと思うのは当然だろう。こうしたコンバートサービスで得られるメリットは大きそうだ。
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リアルタイム仮想化Androidで課題解決
アックスのブースに出展したイーフローは、組み込み機器に求められるリアルタイム性を阻害することなく、AndroidやOSGiによる次世代のリッチサービスを実現・運用可能にするプラットフォーム「Hyperdroid」に関する展示デモを実施。昨今の組み込みシステムは、高機能・多機能化や複雑化により、「リアルタイム性が求められるコアサービスの品質低下、既存ソフトウェア資産の継承が難しい、リッチサービスの投入が困難、設計・製造・検査コストの増大など、さまざまな課題を抱えている」(説明員)。こうした課題に対し、同社は“リアルタイム仮想化Android”による解決策を提案する。
「アックスのハイパーバイザ『蛍』を搭載し、リアルタイム・サービスとリッチサービスを別システムとして分離・独立させることにより、リッチサービスに影響されない安定したリアルタイム・サービスの実現が可能になる」(説明員)という。
同技術ではハイパーバイザを利用するため、アプリケーションの実行速度の低下が懸念されるが、Android標準のDalvikの代わりに、スイスMyriad Group AGが開発した『Dalvik Turbo』を搭載することで、速度の課題についても克服しているという。展示会場では、標準のDalvikとDalvik Turboとの性能比較デモも行われていた。
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