RF測定器を駆使してZigBeeを知る:ZigBeeで知る物理層測定の基礎(3)(1/2 ページ)
ZigBeeの物理層であるIEEE 802.15.4と技適を測定の観点から解説。今回はZigBeeなど高周波の物理層評価に使うRF測定器を紹介
アジレント・テクノロジー
安価で消費電力が少ないことから照明やセキュリティなどのワイヤレスセンサネットワーク構築で注目を集めている「ZigBee」。本連載では、これからZigBeeの物理層評価を始める方向けに、2.4GHz帯の規格および試験の概要、必要な測定器、測定の際のポイントなどを説明していく。(編集部)
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第3回となる今回は、ZigBeeの物理層評価に使用する測定器をご紹介します。いままでRF(Radio Frequency:高周波)測定器になじみがあまりなかったという方向けに基本的なところからご説明していきます。
スペクトラムアナライザ
スペクトラムアナライザ(以下、スペアナ)は、周波数ごとの電力を測定します。では、スペクトラム解析をする意味とは何でしょうか。
ある信号を、時間ドメインと周波数ドメインに分けて考えてみます。どちらも縦軸は信号の振幅ですが、横軸はそれぞれ時間と周波数になります。オシロスコープに代表される時間ドメイン解析は、信号の立ち上がり/立ち下がり時間、オーバーシュート、リンギングなどを測定することができます。こういった時間ドメイン信号は、実はさまざまな周波数の正弦波で構成されています。それぞれの周波数にどれだけのエネルギーが存在するかを知ることができるのが、周波数ドメインであり、スペアナによる解析です。時間ドメインでは分かりにくいわずかな歪(ひず)みも、スペアナは定量的に表示することができます。
スペアナで測定するものは、変調がかかった信号のチャネルパワーや帯域、高調波歪みやスプリアスなどの不要信号の周波数とレベル、ノイズそのもの、などさまざまです。
では、スペアナの基本を説明します。
スペアナは、まずRF信号をスーパーヘテロダイン方式※を使って中間(IF)周波数へダウンコンバージョンします、この後の処理の方式によって、掃引(そういん)型とFFTアナライザに分かれます。
※スーパーヘテロダイン方式…受信した信号(RF信号)を、内蔵の局部発振器(ローカル信号、LO)の信号を用いてミキサで中間(IF)周波数に変換する受信方式。現在最も一般的な受信機の構造。
1. 掃引型スペクトラムアナライザ
掃引型スペアナは、ミキサのローカル信号が周波数掃引することにより、広帯域の周波数測定が可能です。一般的に「スペアナ」と呼ばれるのはこちらの掃引型です。測定範囲が数Hz〜数十GHzと広く、ダイナミックレンジが広いのが特長です。さらに「アナログタイプ」と「デジタルタイプ」に分かれます。
<アナログタイプ>
ダウンコンバージョン後のIF信号は、分解能帯域幅(RBW)を決めるIFフィルタ、ログアンプ、包絡線検波器、ローパスフィルタであるビデオフィルタを通ります。最後にADCなどでログスケール電圧をサンプリングし、検波器(ディテクタ)で表示波形が決定されます。アナログ部品を多く経由するため、ディスプレイから得られる振幅確度はデジタルタイプに比べるとあまり良くありません。
<デジタルタイプ>
アナログ型とIF段の信号処理構造が違います。まずRBWよりも広いプリフィルタで帯域制限を行い、ADCでサンプリングします。その後のIFフィルタ、包絡線検波、ログスケール変換、ディテクタ、ビデオフィルタの処理は、DSPによりデジタル的に行われます。近年のスペアナは、このデジタルタイプが増えています。波形表示の誤差要因が低減され、アナログタイプに比べて振幅確度は良いです。
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