樹脂部品設計ができなきゃ一人前とは呼ばせねぇ:甚さんの設計サバイバル大特訓(2)(2/3 ページ)
樹脂部品の設計ができれば設計者として一人前といえる。一人前の設計者になるためには、やっぱり「断面急変」
ところで、オメェの戦略通り、樹脂→板金→切削の順はいいが、樹脂部品の設計は、この中でも難易度大の設計だ。昔は『鋳物の設計ができて一人前』っていわれていたけど、いまは『樹脂部品の設計ができて一人前』だ。その理由は、これだ!(図3)
ちょっ。いきなり、驚かさないでください……。
まずは、この図3の『変身度』という設計サバイバルの用語を理解しろ。これは、命令だぜぃ!
ここで、図3を説明します。
「変身度」とは本連載における造語です。例えば、樹脂部品はペレットと呼ぶ小粒の原料(固体)から、熱くてドロドロの流動体(液体)となり、金型へ注入されます。
そして、ある程度冷却されると、成形機から取り出し、製品(固体)になります。このように、大きな変身を経て誕生しますので「変身度:大」と定義しました。従って、樹脂部品は、形状も状態も大変身するので、設計や加工が難しいのです。
そんじゃ、いくぜぃ! まず、図2に戻り、初心者の設計の樹脂箱に注目しろ! 次に、第1回で教えた断面スキャンを施せ! オメェの得意な3次元CADを駆使するんだ! さっさとやれようっ!
……実は、そのぅ……ボクが一番得意なのは、院生時代にやった3次元CADと連携した解析(CAE)なんです。それ以外だとちょっと……自信がないなぁ。
テンメェ! 一体、大学院で何やってたんだ! 何をかじってい・た・ん・だと、聞いているんだっ! オイコラッ! 答えろっ! 3秒だけ待ぁーつっ!!
ヒイィィィ! じ、実は、研究室で実験して、お茶飲んで、バイトして、親のスネをかじっていましたー! つかゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメ……。
確かにシろく(広く)、深く、学術を探求することはいいことだし、誰からも褒められるだろうけどよっ。もう、いいっ!オメェは休んでいいよ! 暇をやんよ。その代わりエリカちゃん と交っ代っ! いますぐ、いますぐにー!!
エリカちゃん(沢田恵梨香):良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。甚さんとはメル友であり、漫画の貸し借りもしているみたい。美人な彼女にひそかに思いをよせる良君は日々モンモンとしているのです。
のぉぉっ! それだけは勘弁ーーーーっ! 今晩、ホッピーをおごりますから、僕に教えてください。一気に先輩に追いつきたいのです! お願い、お願いです、甚さんーっ!!
何とか、甚さんから許しを得た良君は、「初心者の設計」による樹脂箱の断面スキャンを開始することにしました 。
ではいまから、3次元CADによる断面急変の探索スキャンを開始します。まずは、X方向スキャン行きまーす(図4、図5)
“開始します”とか、開会式かぁ〜あん? そんなあいさつはいらねーから、さっさとやれよぅっ! ウザッてぇやつだ!
特に、図5の中に記載される断面急変1〜7に注目しろ! これは、命令だ!
あいよー!
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