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推測統計の基礎―― 一元/二元配置分散分析Excelで学ぶ実験計画法の基礎(2)(1/5 ページ)

品質管理のための代表的な統計手法である実験計画法について、実践的な手法を短期間に習得したいと希望している読者に向けて、Excelを使って効率的に独学できるような解説を行う。

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 今回より、標本から母集団の状況を推測するさまざまな推測統計の方法を解説していきます。しかし、推測統計だけを理解しても実務では役に立ちません。そこで事例を通じて、データ収集の計画から解析まで、全体の流れを解説します。

「Excelで学ぶ実験計画法の基礎」連載目次

第1回:品質管理と実験計画法の基本を押さえよう

第3回:試作品の数を劇的に減らす直交配列実験の実務

第4回:直交配列実験を基にした重回帰分析の実務




事例

 工場Aは、ある製品を2交替のシフト(昼勤と夜勤)で大量生産している工場で、あなたの業務は、各シフトで製造される品質(=製品重量)に違いがあるかを調査することです。



計画の立案とデータの収集

 大量生産している製品すべての重量を測定するのは不可能です。そこで、抜き取り検査を実施します。抜き取り検査で重要なポイントは、

  • 検査対象となる製品の抽出が恣意的にならないこと
  • 各シフトで複数の製品を検査すること

です。理由は、前回記載したフィッシャーの3原則、「無作為化の原則」と「反復の原則」を参照ください。今回は、各シフトで時間当たり1個程度の製品を検査する、次のような抜き取り検査を計画しました(注1)。Excelには乱数を発生させる関数があり、それを利用することで抜き取り検査の計画を立てることができます。


注1:取りあえずチョコ停や休憩時間などによるライン停止の影響は無視します。実際は想定数よりも多めの数を設定した方がよいでしょう。


図1 Excelによる抜き取り検査時間の計画(実施時間:抜き取り検査を実施する時間)
図1 Excelによる抜き取り検査時間の計画(実施時間:抜き取り検査を実施する時間)

 TIME関数は、図2のダイアログで時間を表示する関数です。

図2 ExcelのTIME関数ダイアログ
図2 ExcelのTIME関数ダイアログ

 RANDBETWEEN関数は、図3のダイアログでaとbの範囲で任意の乱数を発生させる関数ですが、アドインの起動が必要になります。関数の確認ができない方は、メニューから[ツール]→[アドイン]→[分析ツール - VBA]にチェックを入れてください(Excel 2003)。関数の詳細はExcelのヘルプをご参照ください。

図3 ExcelのRANDBETWEEN関数ダイアログ
図3 ExcelのRANDBETWEEN関数ダイアログ

 この方法を応用することで、秒単位での時間設定(列を追加して、秒を示す乱数を発生させる)や昼勤と夜勤で検査個数を同数(RANDBETWEEN関数の設定を変更する)するなど、さまざまな計画を立てることができます。

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