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携帯電話OS市場を制したシンビアン、次の一手組み込み企業最前線 − シンビアン −(1/2 ページ)

2005年後半から、国内の携帯電話市場でその存在感を急激に増大させた英シンビアン。多数の携帯電話メーカーに支持され、盤石の体制を整えつつある。その勢いはホンモノなのか?

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 英シンビアンが事業を急拡大させている。2005年、Symbian OS搭載の携帯電話端末は全世界で前年比2.4倍の約3400万台が出荷され、累計は7000万台を突破した。2006年に入っても出荷台数は伸びており、年内に1億台を突破しそうな勢いだ。好調の理由としては、世界的に第3世代(3G)端末が普及し始め(米ガートナー調査によれば、2005年に出荷された端末のうち3G端末は6%)、この分野で高い市場シェアを持つSymbian OSの搭載が伸びていることが挙げられる。

 国内市場だけを見ても、2005年に入ってからシンビアンの存在が目立ってきた。従来、富士通がNTTドコモ向けFOMA端末でSymbian OSを採用していたが、三菱電機(2005年2月の「D901i」から)、シャープ(同年12月の「SH902i」から)、ソニー・エリクソン(2006年3月の「SO902i」から)も採用に踏み切り、日本におけるSymbian OS搭載機の合計は31機種(2006年6月12日現在)に達した(注)。単に機種が増えただけでなく、シャープを筆頭にSymbian OS勢は台数シェアも伸ばしている。いまや国内出荷される端末の8割が3G端末であり、シンビアンにとって日本は最重要マーケットの1つ。2005年の搭載実績約3400万台のうち、約12%を日本で稼いでいる。

※注
富士通、三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソン以外に、モトローラもSymbian OS搭載FOMA端末を投入している。また、NTTドコモ向け以外では、ノキアが国内のボーダフォン端末でSymbian OSを採用している。


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Symbian OSとLinuxには根本的な違いがある

シンビアン 代表取締役社長 久晴彦氏
シンビアン 代表取締役社長 久晴彦氏

 国内の携帯電話市場では、NECとパナソニック モバイルコミュニケーションズの2強時代が長く続いた。両社ともFOMA端末向けOSにLinuxを採用したことから、国内においては、次の携帯電話向けOSの本命はLinuxかと目された。だが、Symbian OS勢の躍進で情勢は変わってきた。そもそも世界的に見ると、スマートホン(高機能端末)向けOSの市場シェアはSymbian OSが70.4%を占め、Linuxは19.7%にとどまる(米カナリスの2005年推定値)。Symbian OSがかなり抜きんでている。

 シンビアンの代表取締役社長 久晴彦氏は次のように話す。「Symbian OSとLinuxには根本的な違いがある。Symbian OSは携帯電話専用OSであり、われわれは全世界で1000人以上のエンジニアを投入しながらサポートしている。Linuxはサーバからケータイまでをカバーするが、『ケータイ向けLinux』が(誰もが入手できる形で)確立しているわけではない(注)。リスクを嫌うキャリアや端末メーカーがどちらを採用するか、おのずと決まってくる」。

※注
Linuxの普及を図る業界団体「OSDL(Open Source Development Labs)」が2005年10月に作業部会「Mobile Linux Initiative」を立ち上げ、Linuxを携帯電話向けにアレンジする作業を始めている。

 シンビアンによれば、全世界で約250社のキャリア、12社の端末メーカーがSymbian OSへの対応を果たしてきた。これまで約60機種の搭載端末が世に送り出されているが、現在「開発中」のものも60機種ほどあり、それらが1年ほどで一斉に市場に出てくる。その中には「ノキア、モトローラ、ソニー・エリクソンなど(数量が見込める)トップ機器ベンダの3G端末も含まれている」(久氏)という。Symbian OSの市場シェアは、当面揺るぎないようだ。

 日本の場合、マルチソース戦略を掲げるNTTドコモがFOMA端末向けソフトウェアプラットフォーム「MOAP(Mobilephone Oriented Applications Platform)」にLinuxの(L)版とSymbian OSの(S)版という2種類を用意し、端末メーカーへ提供している。こうした積極的な後押しがあるからこそ、NECとパナソニックもLinuxを採用できるという面がある。しかし、世界的に見れば、NTTドコモのように端末側の技術に深くコミットするキャリアは異例である。そのため端末メーカーは、実績がより豊富でスタンダードなOSを選ぶ傾向にある。

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