全製品を28nmプロセスに移行し黄金期の絶頂を極めるAltera、その先に待つ運命は:プログラマブルロジック本紀(16)(2/3 ページ)
FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第16回は、第15回に引き続き2009〜2014年におけるAlteraの製品や動向を取り上げる。全製品を28nmプロセスに移行するなど黄金期の絶頂を極めた同社だが、その運命は急速にあらぬ方向へ転がっていくことになる。
28nmをBeyond Moore世代と位置付け
そして2010年4月、Alteraは早くも28nmプロセスに基づくStratix Vファミリーの概要を発表する(Webアーカイブを参照)。実はこれに先立つ2010年2月、Alteraは28nmプロセスを採用することを既にアナウンスしているのだが(Webアーカイブを参照)、この際に語られた「Moving Beyond Moore's Law-Innovating at 28 nm」(Webアーカイブを参照)という話が面白い。28nmをBeyond Moore世代と位置付けた上で、その28nm世代に対応するために、以下の3つの取り組みを挙げた。さらにこれらの先ではマルチチップ化(今でいうチップレット化)に向けて進むことになる。
- Embedded HardCopy Blocks
- 28Gbps embedded transceivers
- User-Friendly partial reconfiguration
Embedded HardCopy BlockはHardCopyの名前が入っているので誤解しやすいが、要するに特定アプリケーション向けのIPをハード的に持つというものである。その先鞭をつけたのがArria II GXやCyclone IV GXに搭載されたPCI ExpressのHard IPであり、これをもっと広範に対応した格好だ。28Gbpsのトランシーバーはまぁ読んで字のごとく。そしてpartial reconfigurationは部分再構成などと呼ばれるが、要するにFPGAファブリック全体ではなく一部分だけBitstreamを読み直して、新しいファブリックを構築することが可能になった。
ついでにマルチチップ化の話をしておくと、AlteraとTSMCは2012年3月にCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)に向けた共同開発をアナウンスしている。ただし、CoWoSではなくシリコンインターポーザー上で複数のダイをつなぐという観点では、Xilinxが2010年にTSMCの65nmプロセスを利用したシリコンインターポーザーをベースとしたSSI(Stacked Silicon Interconnect)という技術をVirtex-7で採用することを発表している。
このSSIはCoWoSの前身ともいうべきものであり、後のXilinx製品ではこれがCoWoSに置き換わっている。つまり、CoWoSそのものを利用した実装の試みという意味ではAlteraが先だが、CoWoSを含む広義のシリコンインターポーザーを利用したFPGAという意味では2番手である。また、結果としてAlteraがCoWoSを利用した製品を量産していないことに注意されたい。
話を戻すと、そのBeyond Moore戦略の1番手が2010年4月発表のStratix Vファミリーである。同ファミリーは以下の4つのモデルがラインアップされた。
- Stratix V E:基本のモデル(表3)
- Stratix V GT:28Gbpsのトランシーバーを搭載したモデル(表4)
- Stratix V GX:600Mbps〜12.5Gbpsのトランシーバーを搭載したモデル(表5)
- Stratix V GS:最高12.5GbpsのトランシーバーはStratix V GXと同じだが、DSPの密度を高めたモデル(表6)
表3 用途として想定されているのはASICのプロトタイプ構築など、とにかくLE(というかALM)を必要とする用途向けということで、バリエーションは少ない。というかスペックだけ見ればこれが基本なのだが、実際はStratix V GXがベースで、そこからトランシーバーを取り去ったのがこのStratix V Eという感じである[クリックで拡大] 出所:Altera
表6 一見Stratix V GXのサブセットに見えるが、Variable Precision Multipliersの数が半端なく増えているのが分かる。最もローエンドの5SGSD3はDDR3インタフェースが2チャネルになっているのはちょっと謎[クリックで拡大] 出所:Altera
ALMやLAB/MLABの構造そのものはStratix IV世代と差がないが、プロセス微細化のおかげでLEの数を最大17%(813K→952K)ほど増やし、メモリ量は最大6割弱増強(33Mビット→52Mビット)。Multiplierの数も増やし、PCIe 3.0のHard IPを搭載。DDR3インタフェースも標準搭載された。それでいながら、同一消費電力なら最大50%高速に稼働でき、同一周波数なら消費電力を最大33%削減可能とされたことで、Stratix IVからStratix Vへの移行が2011年以降急速に進むことになる(なお、Stratix V GTの出荷は2011年8月に始まった。Webアーカイブを参照)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

