検索
ニュース

コーヒーチェーンの焙煎管理も!? コニカミノルタのセンシング事業の成長戦略:組み込み開発ニュース(3/3 ページ)

コニカミノルタがセンシング事業の成長戦略について説明。基盤領域である光源色計測と物体色計測で稼ぎ出した収益を、成長領域に位置付ける自動車外観検査とハイパースペクトルイメージングなどに投資するとともに、ソフトウェアの強化やAIを活用したソリューション展開によってリカーリング収益を創出して成長を実現する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

ハイパースペクトルイメージングは分子レベルの違いを捉える

 成長領域のもう一つの柱であるハイパースペクトルイメージングは、可視カメラでは捉えにくい波長情報を取得し、対象物の素材や性質を識別する技術である。例えば、見た目が同じ黒色プラスチックであっても、素材ごとに波長ごとの吸収特性が異なるため、PS(ポリスチレン)、ABS、PE(ポリエチレン)などの材質を識別できるという。

ハイパースペクトルイメージングの特徴
ハイパースペクトルイメージングの特徴[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 ハイパースペクトルイメージングの技術の基盤は、2020年に買収したSpecimによるものだ。可視域から赤外領域まで、400〜1万2300nmの幅広い波長を、nm単位、数百バンドで同時に取得できる。これにより、色や形だけでは分からない、分子レベルの違いに由来する情報を捉えられる。さらに、蓄積した材質ライブラリとAI推論を組み合わせて、取得したデータからその場で材質を識別することが可能だ。この技術に、コニカミノルタの幅広い顧客基盤やグローバルネットワーク、光学/画像処理/AI技術を掛け合わせ、ハイパースペクトルカメラ単体にとどまらない、顧客課題に応じたターンキーソリューションの展開につなげる。

コニカミノルタのハイパースペクトルイメージングの強み
コニカミノルタのハイパースペクトルイメージングの強み[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 ハイパースペクトルイメージングは、鉱石採掘や次世代エネルギーへの投資拡大、リサイクル法規制の強化、食品の品質管理要求の高まりなどが市場機会になるという。鉱石採掘では、南米などの採掘事業者向けに、岩石や鉱石に含まれる鉱物の分布や含有率を測定し、資源評価の効率化に貢献する取り組みを始めている。エネルギー分野ではペロブスカイト太陽電池の膜厚計測による品質管理や太陽光パネルの劣化状態の計測による寿命予測への活用が検討されている。

ハイパースペクトルイメージングの成長戦略
ハイパースペクトルイメージングの成長戦略[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 また、物体色計測や自動車外観検査でも挙げたように、リサイクル分野での取り組みが進んでいる。例えば、リサイクル法規制の強化でEPR(拡大生産者責任)が義務化される欧州ではリサイクルのニーズが高まっている。例えば、イタリアのゴールデンレディ(GOLDEN LADY)とレッグウェアのリサイクル現場で素材を自動選別するために、ハイパースペクトルイメージングとAIを組み合わせた取り組みを進めている。この事例を起点に、コニカミノルタがイタリアで持つ顧客基盤を活用し、テキスタイル、アパレルをはじめとする欧州のリサイクル市場への展開を図る方針だ。

ハイパースペクトルイメージングのリサイクル分野での取り組み事例
ハイパースペクトルイメージングのリサイクル分野での取り組み事例[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

成長戦略では情報機器事業の販路も活用

 センシング事業の対象となる市場規模は、2025年度時点で、光源色計測が500億円、物体色計測が600億円、自動車外観検査が150億円、ハイパースペクトルイメージングが230億円と想定している。2031年度までの年平均成長率で見ると、基盤領域に対応する光源色計測と物体色計測が4%、成長領域に対応する自動車外観検査が10%、ハイパースペクトルイメージング計測が11%となっている。つまり、市場規模が大きい基盤領域で収益性を維持しながら、成長率の高い成長領域へ経営資源を投入するという戦略になる。

センシング事業の市場規模と成長率
センシング事業の市場規模と成長率[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 また、コニカミノルタグループとしての知見や顧客基盤の活用も成長戦略に欠かせない。基盤領域で培った現場対応力を成長領域で活用するというセンシング事業内での連携に加え、複合機を中核とする情報機器事業の販路活用も進めていく。自動車外観検査の東欧におけるホイール検査装置を受注、ハイパースペクトルイメージングのイタリアにおけるリサイクル分野での取り組みなど、既に欧州から展開が始まっている。

コニカミノルタグループが持つ知見と顧客基盤を活用
コニカミノルタグループが持つ知見と顧客基盤を活用[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 さらに、ハードウェアによって構築してきたセンシング事業の基盤を、ハードウェアの組み合わせとソフトウェアの強化によって提供価値を拡大した後、データとAIを活用したソリューションを展開するという3段階の展開を進める。段階が進むごとにリカーリング収益が拡大し、事業成長につなげることが可能になる。

3段階でソリューション展開を進める
3段階でソリューション展開を進める[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

 これらの取り組みによってセンシング事業の長期的な成長を実現する。2025年度の売上高448億円に対し、中期計画の最終年度である2028年度には600億円規模を目指し、その先の長期目標として売上高1000億円の達成を掲げている。長期目標の達成に向けては、3段階目となるソリューションの売上高比率で30%以上を目指すこととなる。「必要に応じて、M&Aなどによる外部技術の獲得や新たな産業領域への展開など非連続成長も組み合わせる」(三上氏)としている。

センシング事業の長期目標
センシング事業の長期目標[クリックで拡大] 出所:コニカミノルタ

⇒その他の「組み込み開発ニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る