日本のモビリティ産業は「変化」できるのか:Japan Mobility Show Bizweek 2026(2/3 ページ)
日本自動車工業会は、「Japan Mobility Show Bizweek 2026」において、「未来モビリティ会議 特別セッション」を開催した。同セッションでは、日本のモビリティ産業がどのような価値を生み出し、世界で競争力を持ち続けるためにどのようなことに取り組んでいくのかについて、自工会とスタートアップのトップがそれぞれの視点から議論を交わした。
スタートアップのトップが語る「AIによる大事な変化」
佐藤氏や三部氏の話を踏まえて、「世界で起きている一番大事な変化について」という話題になった。
東大発AIスタートアップで、建設/製造業を中心にソリューションを提供している燈の代表取締役社長 兼 CEOである野呂氏は、「自動運転をはじめとして、デバイス面ではドローンやヒューマノイドなどもソフトウェアとハードウェアの距離がどんどん近くなっている。そのため、ソフトウェア先行でのハードウェア設計やモノづくりの仕方の部分で世界的に大きな変化を感じている」と語る。
また、佐々木氏からの「AIが自動車(業界)をどのように変えるのか」という問いに対して、野呂氏は「まずは自動運転である。また、工場の無人化という面においては、ヒューマノイドや多能工のロボットによってどんどん自動化されていく領域もあると認識している」と回答する。
佐藤氏はスタートアップのトップである2人に「日本のモノづくりとAIの関係性が産業構造を変える原動力になるのではないかと思っているが、この部分についてどう捉えているか」という問いを投げかけた。
これに対し、独自のフィジカルAI技術などで製造/物流現場向けのソリューションを展開しているスタートアップであるMujin CEO 兼 共同創業者の滝野氏は「フィジカルAIは普通のAIと違い、アウトプットとして自然界で実際のモノを動かさなければならない。AIが『ロボットをこうやって動かすべきだ、工場はこうあるべきだ』とどれだけ最適化しても、実際のモノがついていかないということが最近起こっている」と説明する。
続けて「長年の経験から、こういう事態が発生した際にはこれがある、次にこのような事態が発生するからこう止めるといった、細かい部分にたくさんソフトウェアに入れていかないといけないと認識している。この長年のノウハウが、今の日本に存在する職人技の世界であり、この知識を一番持っている層が55〜65歳である。この人達が卒業する前に、この部分(ノウハウ)をしっかりとソフトウェア化してAIと実世界の間を埋めることができれば、日本はこれ(フィジカルAIに関するソフトウェア)自体を輸出できるといった世界になると思う」と述べる。
滝野氏の説明を受けて、野呂氏は「現場でのAIやロボット活用が、人間がやるよりもどれだけ優位性があるのかという部分は多くの企業から問われるテーマであり、特に大企業に対してはPoCや実証/検証を行ったとしても、モノを運ぶだけの場合ならロボットよりも人間のほうがはるかに早くて、安全で、コストも低いという結果が出ることがあり、このような部分を課題として感じている」と語る。
続けて、「フィジカルAIという話になると、ロボットやヒューマノイドでモノを運ぶという部分に話が終始しがちだが、製造はもっと奥が深い。日々の生産計画があり、どこかでラインが止まる/異常動作をする。これに対してどのように対応するのかという部分に人手がかかっている。そのため、フィジカルAIの視点をヒューマノイドやロボットだけに集中させてしまうのではなく、工場全体での空調管理やラインの計画、エネルギーの管理などといった部分を含めて考えると、AIを活用(適用)できるが、見つかっていない領域がまだある」と強調する。
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