ニデック「永守氏の会社」脱却へ 戒田CEOが語った前経営陣への思い、再生の道:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
ニデックは、監査法人の「意見不表明」が長引く事態を受け会見を開いた。新たに求められた252人の追加検証が続いているのが要因だ。また、創業者の永守重信氏ら元役員9人の提訴を発表。CEOの戒田理夫氏は前経営陣らへの思いを語りながら、「法に従い正しく処理する」と明言した。
決算開示もずれ込み 売上目標2兆8000億円に対しては「順調に推移」
意見不表明の長期化に伴い、今後の決算発表や上場維持に向けたスケジュールにも影響が出ている。ニデックは10月30日に、特別注意銘柄の指定解除に向けた審査に必要な「内部管理体制確認書」を東京証券取引所へ提出する予定だ。しかし、監査法人から適正意見が付された有価証券報告書がない状態での審査入りとなる。
会社側としては、現在要請されている追加のスクリーニングなどの確認作業を11月中には完了させる方針だが、その後の監査法人の評価プロセスを含めた最終的な監査完了時期は現時点で確定していない。これに伴い、本来であれば発表時期を迎えている2027年3月期の第1四半期および第2四半期(上期)決算の開示スケジュールについても、検討中としたまま未定となっている。また、新たな中期経営計画の発表も、監査意見を入手した後にずれ込む見通しだ。
一方、足元の業績への影響については、実ビジネスに与える打撃は限定的と見ているという。2027年3月期の会社予想として掲げている2兆8000億円(前期比3.4%増)という目標に対し、執行役員 最高財務責任者(CFO)代行の中川一夫氏は、「発表した会社予想通り推移している」と説明した。
戒田氏も、「お客さまには丁寧にお話しさせていただいている。また、AI(人工知能)関係のビジネスもたくさんご注文をいただいていることもあり、ご要望に応えるように動いているというのが今の状況である」と語った。
永守氏ら9人を損害賠償請求提訴へ、戒田氏が語る前トップ層への思い
ニデックは前日の10月27日、役員責任調査委員会の報告を受け、創業者である永守重信氏をはじめとする元役員9人に対する損害賠償請求訴訟の提起を決議し、発表した。
損害賠償責任が認められたのは、永守氏、小部博志氏、佐藤明氏、吉本浩之氏、関潤氏、岸田光哉氏、村上和也氏、落合裕之氏の元取締役および元監査役/監査等委員の8人と、元CFOの旧執行役員1人の計9人である。
調査報告書では、同社において企業会計や会計監査制度が長年にわたり、ないがしろにされてきた実態が指摘されている。厳正に行うべき減損や引当が利益目標の達成に応じて処理されていた他、虚偽説明による費用計上の先延ばしや監査法人への責任転嫁など、誤った認識が横行していたという。2025年8月から2026年8月の間に同社に生じた損害額は、調査費用や上場違約金など約276億円に上る。損害額は今後さらに増える可能性があるという。
創業者らへの提訴という事態について、戒田氏は経営トップとしての客観的な立場を強調し、次のように語った。
「上場企業であろうとなかろうと、決算などの数字は正しくきれいでなくてはいけない。私自身はこれまでもその姿勢を貫いてきたし、これからも続けていきたいと思っている。今回の損害賠償請求の結果については非常に重たい結果でもあるが、われわれは法の下で平等であるからこそ、法に従って正しく処理するまでだ」
一方、ニデックが不正会計やガバナンス不全を招くに至った過程において「永守氏がいつ何を間違えたと考えているか」と問われると、戒田氏は急拡大を遂げてきた同社の歴史を振り返り、率直な思いを語った。
「(永守氏などは)夢を追いかけられたんだと思う。決して夢が悪いとは思わない。しかし、やはり自分たちの力を社内に熟成してから戦えばよかったのではと思う。これまで多くの世界の企業を仲間に入れて(買収して)きたが、やはり神経が通りきっていなかった。その辺に対するガバナンスの整備が甘かったのではないか」
同社は今後、第三者委員会の調査報告書でも指摘された「『永守氏の会社』からの脱却」に向け、創業者の影響力から脱した組織統治の確立を進める方針だ。
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