検索
ニュース

窓が発電の場に、パナソニックHDがガラス型ペロブスカイト太陽電池を本格量産:材料技術(1/2 ページ)

パナソニックHDは、建物の窓や壁を発電の場に変えるガラス型ペロブスカイト太陽電池「ENEFACE」の本格量産を発表した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は2026年10月20日、東京都内とオンラインで記者会見を開催し、開発を進めてきたガラス型ペロブスカイト太陽電池について、当初2030年度としていた本格量産の開始時期を1年前倒しし、滋賀県長浜市に整備を進めている量産技術開発拠点「長浜拠点」において、2029年4月に本格量産を開始すると発表した。併せて、量産品を「ENEFACE(エネフェース)」の製品名で販売することも明かされた。

 本格量産に先立ち、2026年9月より先行量産品を販売し、事業活動を開始した。先行量産品は、パナソニックHDの開発拠点(大阪府守口市)で生産しており、顧客への導入を通じて、施工/運用ノウハウの蓄積を進めている。今後は、長浜拠点での本格量産開始に向け、量産技術の確立を進めるとともに先行量産品の社会実装を通じた市場形成を加速していく考えだ。

「資源価値最大化への挑戦」として「ENEFACE」を開発

 近年、脱炭素化の進展や電力需要の増加を背景に、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大が求められている。特に都市部では、太陽電池を設置できる屋根の面積が限られている建物が多く、窓や壁面など、これまで十分に活用されてこなかった場所を新たな発電場所として活用できる建材一体型太陽電池(以下、BIPV)への期待が高まっている。

同社 技術部門 コーポレートR&D戦略室 室長の吉川祐一氏
同社 技術部門 コーポレートR&D戦略室 室長の吉川祐一氏

 一方、政府のエネルギー政策や経済安全保障を支える次世代技術の1つとして、ペロブスカイト太陽電池の導入拡大が重要施策に位置付けられるなど、社会実装に向けた環境整備が進んでいる。

 同社 技術部門 コーポレートR&D戦略室 室長の吉川祐一氏は「政府が発表した資料によれば、2035年に公共施設などに累計で5GWのペロブスカイト太陽電池を導入することを自民党が公約として発表している。第7次エネルギー基本計画では、2040年に累計で20GWのペロブスカイト太陽電池を導入することを盛り込んでいる。これらの目標が、ENEFACEの販売でも追い風になると考えている」と触れた。

ペロブスカイト太陽電池を取り巻く社会背景
ペロブスカイト太陽電池を取り巻く社会背景[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 同社は、2025年9月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業に採択され、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術や施工技術の開発を進めている。こうした技術開発の進展に加え、市場からの期待の高まりや政策面での後押しを踏まえ、本格量産の開始時期を当初計画から前倒しすることを決定した。

 吉川氏は「当社の技術部門では、2040年の未来で求められる技術のイメージをまとめた『技術未来ビジョン』を策定している。技術未来ビジョンでは、『資源価値最大化への挑戦』『有意義な時間創出への挑戦』『自分らしさと人への寛容な関係性への挑戦』をミッションに掲げている。これらのミッションの中で、『資源価値最大化への挑戦』の取り組みとして、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の技術開発を行っている」と吉川氏は話す。

技術未来ビジョン
技術未来ビジョン[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 BIPVには、発電性能に加え、建築物と調和する意匠性や透過性、設置場所に応じたサイズ設計の自由度、施工性、長期耐久性など、建材としての多様な性能が求められる。「BIPVの市場は現状、大きくない。その要因としては、窓に高い透明性や耐久性、耐候性が必要となる点が挙げられる。そこで当社では、これらの機能を備えたENEFACEの技術開発を進めている」(吉川氏)。

 ENEFACEは、同社独自の材料組成により製造された、必要な強度の透明電極付き(建材)ガラスが採用されている他、ディスプレイ製造技術を応用し自社開発した、大面積/サイズフリーに対応する装置を用いて、太陽電池層がインクジェット塗布されている。同製品のパターニングは、レーザースクライブ技術により、微細なデザインや透明化を実現している。さらに、同社の封止技術を用いて、発電膜を守る形で、合わせガラス化されている。

ENEFACEの特徴
ENEFACEの特徴[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る