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オムロンはAIを現場の価値に変える 米IPC企業買収で「設備最適化」へ拡張:FAニュース(2/2 ページ)

オムロンは、米国の産業用PCメーカーであるOnLogicを完全子会社化すると発表。併せて東京都内で記者会見を開き、買収の狙い、背景などを説明した。

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「脊髄」のPLCと「大脳」のIPCを融合、工場外の現場最適化へ

 オムロンの山西氏は、PLCとIPCの関係性を次のように語る。

「PLCは人間に例えると脊髄、つまり瞬時に体を動かす力に当たる。製造現場では、モーターを動かす、止める、位置を合わせるといった、あらかじめ決められた動作を速く正確に実行する。つまり決められたことを瞬時にそして確実に実行するのがPLCの役割となる。一方のIPCは、人間の大脳、つまり考える力に当たる製品となる。膨大なデータを集め、複雑な計算を処理し、分析判断を行うのがIPCの役割だ。この2つは個別に進化してきたが、現場で十分につながってこなかった」(山西氏)

PLCとIPCの違いとIPCの市場成長性
PLCとIPCの違いとIPCの市場成長性[クリックで拡大]出所:オムロン

オムロンの山西基裕氏

 近年、半導体や二次電池などの先進的な製造現場では、設備をms単位で素早く正確に動かすだけでなく、現場で発生する膨大なデータを活用して、品質向上や生産性改善に活用するニーズが高まっている。

「今、求められているのは、現場データを活用しながら継続的に最適化させることだ。工程終了後にさまざまな設備データを分析しながら最適なプロセス条件に見直していては、改善策は次のロット以降にしか反映されない。オムロンのPLCとOnLogicのIPCを組み合わせることで、『作った後に改善する』から、『作りながら最適化する』への変換が可能になる」(山西氏)

フィジカルAI実現に向けた実行基盤を獲得
フィジカルAI実現に向けた実行基盤を獲得[クリックで拡大]出所:オムロン

 これを実現するのが、IPCとPLCの融合になる。つまり、IPCが現場データを解析し、PLCがその結果を制御へ反映する。これにより、製造しながら継続的かつリアルタイムに近い形で最適化できるようになる。今後、両社で共同開発チームを立ち上げ、2030年度までにはOnLogicのIPCにオムロンのPLCを一体化させた新製品の投入を目指す。

 従来、オムロンでもIPCは展開していたが、山西氏はOnLogicのIPCとは補完関係にあるとする。「われわれのIPCは、高速高精度の制御を起点に発展的に作り上げてきた。OnLogicのIPCは汎用(はんよう)的でフレキシブルに構成を組み替えられ、より守備範囲が広くなっている。われわれにとっては、IPCのポートフォリオがより広がる形になる」(山西氏)

 オムロンではその先の姿も描いている。人が想定していない環境の変化に対しても、PLCとIPC、さらにAIモデルを活用して自律的に学習、判断し、製造現場全体を改善し続ける「フィジカルAI」を実現する。その中で、オムロンの独自性は、AIを現場で実装して、顧客の成果に変える力にあるとする。

オムロンが目指すフィジカルAIの姿
オムロンが目指すフィジカルAIの姿[クリックで拡大]出所:オムロン

 なお、買収後もOnLogicの現経営陣や独立した事業運営や直販体制、ブランドは維持する。シナジーを含めて、2028年度に売上高3億米ドル以上、2030年度には売上高4億米ドル以上への拡大や営業利益率24%以上を目指す。

「オムロンがこれまでリーチできていなかった、そして今後数年かけても容易に構築できない約2000社の顧客接点を1度に獲得できることを意味している。工場向けの自動化から、社会を支える設備の運用最適化へと事業領域を拡張する」(山西氏)

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