「ひげそりは洗面台」を変えた、パナソニックの“小さいシェーバー”ヒットの理由:小寺信良が見た革新製品の舞台裏(42)(1/5 ページ)
ひげそりの場所や時間、求められる価値が変わる中、日常使いの小型シェーバーという新市場を切り開いたのがパナソニックの「ラムダッシュ パームイン」だ。大ヒットを生んだ発想と、それを支える小型化技術や設計の工夫など、舞台裏を小寺信良氏が伝える。
連載「小寺信良が見た革新製品の舞台裏」趣旨
今までにない新しい製品のアイデアや発想はどこから生まれてきたのか。映像系エンジニア/アナリストの小寺信良氏が商品企画や設計・開発の担当者へのインタビューを通じ、革新製品の生まれた舞台裏に迫る。
大抵の成人男性が毎朝向き合う作業が、ヒゲそりである。それはある意味で社会人の義務というか、惰性でやっている感もあるところだが、清潔感を重視する若者世代から見ると、また違った様式美のようなものがあるようにも思える。
こうした変化を捉えてヒット商品となったのが、電気シェーバーを大幅に小型化した、パナソニック「ラムダッシュ パームイン」シリーズである。これまでトラベル用の小型シェーバーは存在したが、日常使いの小型モデルという、新ジャンルを開拓した。
2023年に初代5枚刃モデルで参入し、2025年に3枚刃を追加。2026年9月には第2世代の5枚刃と、同シリーズ初となる6枚刃モデルを投入した。大きいグリップ型には6枚刃のモデルはあるが、パームインとしてのサイズをほとんど変えずに6枚刃を搭載し、さらにアルミニウム削り出しの金属ボディーによる質感の良さにこだわった。
電気シェーバーのような、ある意味枯れたジャンルで今更ヒット商品を出すなど、並大抵のことではない。そこにはシェービングに対する意識や意義の変化があったはずだ。今回は機能とデザイン両方を妥協せず、独自の世界観で突っ走る「ラムダッシュ パームイン」の開発チームにお話を伺うことができた。
お話しいただいたのは、商品企画を担当したパナソニック メンズグルーミング商品企画課の池田建太(いけだ けんた)氏、設計を担当したビューティ・パーソナルケア事業部メンズ商品設計課の永島唯哉(ながしま ゆうや)氏、マーケティングを担当するパーソナル国内マーケティング課の田中亨(たなか とおる)氏だ。
シェービングは変化したのか
小寺 うちにも大学生の息子がいるんですが、最近の若いひげそりデビューをする人たちは、おじさんのひげそりの感覚とはまたちょっと違ってるんじゃないかなという気がします。
池田氏 清潔感を重視するというのは全年代で変わらないんですけど、その中でも快適な美容行為とか、自分らしさの表現みたいなところにつながっているのが、若い年代の特徴だと捉えています。
ひげそりのゴールは全部ヒゲがなくなることだと思いますが、その時にも「自分の好きな道具で気分よく使いたいよね」とか、人によっては「もう脱毛しちゃう」とか、清潔感へのやり方やアプローチも、若年層とその他の年代では違っていると思います。
小寺 小型シェーバーは、旅行用などでは昔からある商品ですが、日常使いで小型のモノを使うという人はあまりいませんでしたよね。
池田氏 そうですね。「ラムダッシュ パームイン」については、小型のデザインももちろん大きな違いなんですが、使い方も画期的に変わってきているところがあります。
ラムダッシュ パームインを持つと、ヒゲや肌に対してすごく近いところに手が来ます。今までだったらグリップを握って、ヘッドを動かしてそっていたものが、指先で自分の感覚でコントロールできます。力加減や向きも直感的に操作できます。そういうところも今までのシェーバーとは違うものとして受け入れられていると考えています。
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