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イタリア海軍“フルスペック”哨戒艦に潜入! 最新鋭の操舵室に迫るイマドキのフナデジ!(19)(1/3 ページ)

「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する本連載。第19回は、イタリア海軍の最新鋭PPA(多目的外洋哨戒艦)であり、対空戦、対水上戦、対潜戦の全てに対応可能なフルスペック仕様の「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」の操舵室を取り上げる。

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 「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」が属するタオン・ディ・レヴェル級は、イタリア海軍がPPA(Pattugliatore Polivalente d'Altura、多目的外洋哨戒艦)と呼ぶ新世代の水上戦闘艦だ。名称に「哨戒艦」とあるが、その任務は警戒監視だけではない。イタリア海軍は同級を「多任務戦闘艦」に分類し、海洋監視、海上法執行、環境保護、国際協力、災害救援に加え、戦闘任務にも対応する艦として位置付けている。

イタリア海軍のPPA「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」
イタリア海軍のPPA「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」。PPAは「多目的外洋哨戒艦」を意味するが、実際には哨戒だけでなく戦闘、人道支援、災害救援まで幅広い任務に対応する[クリックで拡大]

⇒連載「イマドキのフナデジ!」のバックナンバーはこちら

ただの哨戒艦では収まらない「PPA」とは

 PPAの特徴は、こうした幅広い任務を“後付け”したのではなく、設計段階から織り込んだことにある。欧州各国が共同で進める防衛装備品計画を管理する国際機関「OCCAR」では、これを「Multi-Purpose by Design」と名付け、モジュール化、高度な統合と自動化、長い航続力や高速性能などを組み合わせることで、軍事任務だけでなく人道支援、災害救援、油濁対処にも使用できる艦種としている。そのため、艦内にはコンテナなどを搭載できるモジュール区画も設けて、任務に応じて搭載物を変更できる。

 その観点からすると、PPAは、従来型の哨戒艦(海上自衛隊が建造中の「さくら型哨戒艦」も含めて)をただ大型化したというより、1つの基本船体に必要な能力を組み合わせて多様な任務を担わせることを前提にしたと見るのが実態に近い。その考え方をさらに明確にしたのが、タオン・ディ・レヴェル級の戦闘システムの違いによる「LIGHT」「LIGHT PLUS」「FULL」という3種類の構成だ。

艦尾側から見た「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」
艦尾側から見た「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」。PPAは共通船体を基本に、任務に応じて兵装やセンサー、搭載品を組み合わせて「LIGHT」「LIGHT PLUS」「FULL」という3種類の構成を用意する。同艦は初のFULL構成として完成した[クリックで拡大]

同じ型でも中身が違うLIGHT/LIGHT PLUS/FULL

 PPAは共通のプラットフォームを使いながら、搭載する戦闘システムによって先に述べたLIGHT/LIGHT PLUS/FULLの3段階に分けられている。LIGHTは警備警戒任務に耐え得る最小限の砲熕兵装を備える基本型で、LIGHT PLUSはこれにミサイル運用能力を追加、FULL(Full Combat System)は対空戦(AAW)、対水上戦(ASuW)、対潜戦(ASW)の全てに対応する仕様となる。

 イタリア海軍では、LIGHTを哨戒任務と基本的な自衛能力、LIGHT PLUSをその中間、FULLを最大限の戦闘能力を備えた構成と説明している。ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレはタオン・ディ・レヴェル級の4番艦で、2024年10月にイタリア海軍へ引き渡された最初のFULL仕様艦として就役した。

 なお、3つの仕様の区分はいったん就役したらその後固定ではなく、2026年4月には、既存のLIGHT/LIGHT PLUSをFULL仕様へ改修する契約変更が発表されている。PPAの「同じ船体に能力を段階的に加える」というコンセプトが、就役後の改修でも有効であることを示しているといえるだろう。

艦橋と上部構造物を前方から見る
艦橋と上部構造物を前方から見る。2023年に横須賀へ寄港したLIGHT仕様の「フランチェスコ・モロシーニ」に対し、FULL仕様の本艦はCバンドとXバンドを併用するDBR(Dual Band Radar)を搭載する。DBRはCバンドのKRONOS QuadとXバンドのKRONOS StarFireから成り、それぞれ4面、計8面の固定式AESAアンテナを使用するため、LIGHT仕様よりマスト周辺のフラットアレイアンテナが増えている[クリックで拡大]

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