国産汎用ロボットによるフィジカルAIのデータ収集で7社が競う、試作機を披露:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
AIRoA(AIロボット協会)は、「フィジカル AI Summit」において、「国産汎用ロボット開発コンペティション」に参加する7社のロボットの試作機を公開した。
コンペティションに参加した7社のロボットの特徴
THK
THKは、主力事業であるローラーベアリングやリニアガイド、ボールねじなどの機械要素部品を活用した汎用ロボットを開発している。例えば、カメラを搭載する頭部の動作機構にはボールねじを、ハンドのグリッパーの開閉機構にリニアガイドを用いている。「工作機械や半導体製造装置に用いられる機械要素部品は、何万回、何十万回動作しても高い動作精度を維持しなければならず、高い剛性も求められる。それらの特徴を生かしたロボットの開発を約10年間続けており、試作機にはその成果を盛り込んだ」(THKの説明員)。
ugo
ugoが披露したのは、新開発の国産セミヒューマノイド「ugo Nova」である。双腕での可搬重量は最大10kgで、上体の旋回/屈伸が可能な腰部の多関節機構を搭載し、メカナム4軸による全方向移動が可能だ。NVIDIAの最新の組み込みAIボードである「Jetson Thor」を搭載し高度なフィジカルAIの実装が可能だという。なお、ugoは、GENIACの「ロボット基盤モデルの研究開発事業(多用途ロボット等)」にも参加しており、VLA(視覚言語行動)モデルに触覚を加えたVTLAモデルの開発を目指している。このVTLAモデルの開発にもugo NOVAを活用する予定だ。「人の熟練作業をデータ化してAIが学習し、ロボットがロボットを作る世界の実現を目指す」(ugoの説明員)としている。
不二越
不二越は、産業用ロボットの知見を基に開発した双腕ロボットを披露した。片腕当たりの可搬重量はハンドを含めて4kgである。「当社はルールベースで動作する産業用ロボットを事業として展開してきたが、この機体はVLAモデルなどAIモデルへの対応を視野に入れた研究開発の取り組みとして試作した」(不二越の説明員)という。
Keigan
Keiganは、アクチュエーター開発を起点に2016年に創業したスタートアップで、2021年からはそのアクチュエーター技術を活用したAMR(自律移動ロボット)に事業を拡大している。今回披露した双腕ロボットは、全24軸に自社設計のアクチュエーターを搭載しており、モータードライバ基板や制御ソフトウェアは内製、減速機を国内メーカーとするなど国産サプライチェーンを構築している。「最も修理しやすいヒューマノイドを目指して、機体の設計情報やSDK(ソフトウェア開発キット)などをオープンソースで公開する予定だ。使う人が自分で修理、保守、改造できるようにしたい」(Keiganの説明員)。
Enactic
Enacticは、2025年7月に発表した完全オープンソースのヒューマノイドロボットアーム開発プラットフォーム「OpenArm」を披露した。オープンソースのロボットアームといえば「LeRobot」に準拠した「SO-101」などが広く知られているがシングルアームだ。OpenArmは双腕のロボットアームであり、片腕当たり5.5kgの可搬重量を実現している。今回のコンペティションでは、ハンドのグリッパーを3種類に増やしており、表面積が大きく大型で柔らかいものをつかみやくしたり、小さいものをしっかりとつかみやすくしたりなどの工夫を追加している。
Emplifi
Emplifiは、マツダ、アイリア、アスラテック、TSAKOとの5社コンソーシアムでコンペティションに参加しており、“顔のある”オープンソースロボット「OpenShell」を披露した。ナマケモノをモチーフにした頭部と口角/口パクの2自由度顔面機構を持ち、注意方向や動作開始を周囲に知らせることができる。安全機構とは別に、ロボットの行動予測しやすさを高められるようになるという。頭部のデザインは、メディアアート作家の藤堂孝行氏が担当した。人との協働を強く意識したロボットになっている。
HatsuMuv
HatsuMuvは、「2次元キャラクターを実世界へ」を合言葉にヒューマノイドロボットを開発しており、今回のコンペティションでは頭部にさまざまな機能を組み込める双腕アームを備えた上半身ロボットを試作した。頭部スペースを広めに取っており、USBスロットなどもあるので、さまざまなデバイスを試すことができる。関節モジュールには、高耐久/高冷却/高応答の台湾製の最新QDD(準ダイレクトドライブ)モーターを採用している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ヒューマノイド50台を徹底特訓! 「フィジカルデータ収集センター」が誕生
山善やINSOL-HIGHら4社はヒューマノイドロボットの実用化を目指す新団体を設立。千葉に50台規模のデータ工場を新設し、現場稼働に必要な動作データを収集する。2026年の稼働を予定している。
日本の汎用ロボット開発の起爆剤となるか、基盤モデル構築目指すAIRoAが発足
AIロボット協会(AIRoA)が設立の背景や今後の活動内容について説明。立ち上げ1年目となる2025年度は、初期開発段階としてAIロボット開発のベースとなる基盤モデルの開発と公開を行い、2026〜2029年度にこの基盤モデルの改良と社会実装を進めながら、2030年度以降に開発コミュニティーによるAIロボットの社会普及に移行していくことを目指す。
AIRoAが研究開発と法人機能を平和島拠点に集約、フィジカルAIの開発体制を強化
AIロボット協会は、2026年6月に主たる事務所を東京都文京区本郷から東京都大田区平和島へ移転したと発表した。実環境から獲得したデータを継続して学習、検証できる環境を整備し、フィジカルAI技術の開発体制を強化する。
日本再起の旗印となるか、国産マルチモーダルAI基盤「FRONTia」が始動
経済産業省とNEDOは、AIロボットやフィジカルAIに用いられる国産マルチモーダル基盤モデル「FRONTia(フロンティア)」の開発プロジェクトの本格始動に合わせて、東京都内で「我が国のフィジカルAI政策に関する対外発信イベント」を開催した。
GENIACの活動はAI×ロボティクスへ、ロボット基盤モデル開発の採択事業者を発表
経済産業省とNEDOの下で国内の生成AI開発を推進するGENIACは、「ロボット基盤モデルの研究開発事業(多用途ロボット等)」と「データエコシステムの構築等に関する研究開発事業・第4回公募」の採択事業者を発表した。
産総研のフィジカルAIプロジェクトに迫る 10万年ギャップを超えろ!
産業技術総合研究所(産総研)が「フィジカル領域の生成AI基盤モデルに関する研究開発」プロジェクトについて解説するウェビナーを開催。同プロジェクトを構成する6つのグループから最新の研究成果が報告された。


