破過曲線を用いた吸着塔の設計計算:はじめての化学工学(21)(1/2 ページ)
前回は、吸着の種類や基本的な操作方法について解説しました。今回は、破過曲線と未使用層長さを用いて、実験データから実機の破過時間を見積もる方法について解説します。
固定層吸着と物質移動帯
工業的な吸着では、円筒形の容器に粒状の吸着剤を充填(じゅうてん)し、気体や液体を連続的に流す「固定層吸着」が広く用いられます。吸着剤の層は動かないため、装置は吸着塔または吸着カラムと呼ばれます。今回の対象は、この固定層吸着塔です。
流体を流し始めると、入口付近の吸着剤から順に吸着量が増えて平衡吸着量に近づきます。塔内には、吸着がほぼ完了した領域、吸着が進行している領域、まだ吸着に使われていない領域が形成されます。このうち吸着が進行している領域が「物質移動帯」です。物質移動帯は時間とともに出口側へ移動し、出口へ達すると、それまで低かった出口濃度が上昇し始めます。出口濃度が許容値に達した状態を破過(はか)、通液開始から破過までの時間を破過時間と呼びます。破過時には通液を止め、吸着剤を交換または再生します。
破過曲線の読み方
横軸に時間(t)、縦軸に入口濃度(c0)に対する出口濃度(c)の比c/c0を取った曲線を破過曲線と呼びます。物質移動帯が出口に達すると曲線はS字状に立ち上がり、吸着層全体が平衡に達するとc/c0=1に近づきます。実際の運転では、出口濃度の許容値をあらかじめ定めておくのが一般的です。今回は、c/c0=0.05に達した時刻を破過時間(tb)とします。
実際の吸着量と同じ面積を持つ理想的な破過曲線の時間が理想破過時間(t*)です。100%無駄なく吸着できていることを意味します。t*は、1−c/c0を時間で積分して求めます。破過曲線が左右対称に近い場合は、c/c0=0.5に達する時刻での近似が可能です。曲線の立ち上がりが急なほど物質移動帯は短く、破過直前まで吸着層を有効に利用できます。
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![図3. 破過曲線と破過時間の関係、c/c<sub>0</sub>:出口濃度比[-]、t<sub>b</sub>:破過時間[h]、t<sup>*</sup>:理想破過時間[h]](https://image.itmedia.co.jp/mn/articles/2608/25/kn20260820chemufac3.jpg)