前工程を知らずに後工程は理解できない〜半導体製造全体の流れをつかもう〜:いまさら聞けない 半導体後工程(1)(1/3 ページ)
半導体の高性能化において重要性が増す後工程を中心に解説する本連載。第1回は、半導体製造全体の流れを概観し、後工程を理解するために必要な前工程の基礎知識を整理する。
この記事の3行要約
- 半導体「後工程」を中心に分かりやすく解説する連載
- 第1回は前段として前工程で何が行われているかを紹介
- 前工程でポイントとなる要素とは何かを説明
「半導体」と聞くと、皆さんはどのような光景を思い浮かべるでしょうか。
真っ白なクリーンルーム、防塵(じん)服に身を包んだ作業者、黄色い照明の下で静かに動き続ける巨大な製造装置――。ニュースやテレビ番組で目にすることはあっても、「実際にどのような工程を経て半導体が作られるのか」を詳しく知る機会は意外に少ないものです。
生成AI(人工知能)、自動運転、5G、データセンター、スマートフォンなど、現代社会を支えるあらゆる電子機器には半導体が使われています。その需要は年々拡大し、「産業の米」と呼ばれるほど重要な存在となりました。
一方で、半導体製造は非常に複雑です。一般的には「前工程」と「後工程」の2つに大きく分けられます。
前工程ではシリコンウエハー上にトランジスタや配線などの電子回路を形成し、後工程ではそのウエハーを1つ1つのチップへ切り分け、パッケージ化し、検査を行って製品として完成させます。
今、前工程における半導体の微細化が物理的な限界を迎える中、後工程におけるチップレットや3D積層などパッケージング技術に注目が集まっています。
今回から始まる本連載では、この「後工程」を中心に解説していきます。しかし、後工程だけを見ても本質は理解できません。なぜなら、後工程は前工程で作られたウエハーを引き継ぐ工程であり、前工程で作り込まれた品質が、そのまま後工程の品質や歩留まりに大きく影響するからです。
第1回は、半導体製造全体の流れを概観し、後工程を理解するために必要な前工程の基礎知識を整理していきます。
半導体製造全体の流れ
半導体製造は、大きく次のような流れで進みます。
まず、半導体メーカーが回路設計を行います。設計データを基にフォトマスクが作られ、シリコンインゴットから切り出されたシリコンウエハーに回路が形成されます。ここまでが前工程です。
その後、完成したウエハーは後工程へ送られます。
ウエハーはダイシング工程で1つ1つのチップへ切り分けられ、ダイボンディング、ワイヤボンディング、モールディング(樹脂封止)、最終検査を経て製品となり、電子機器メーカーへ出荷されます。
ニュースなどで最先端半導体工場が紹介されるとき、多くの場合は前工程の製造ラインが映し出されます。しかし、完成したウエハーはそのままでは電子機器に搭載できません。後工程で1つ1つの半導体製品へ仕上げられて初めて、市場へ送り出されるのです。
半導体製造の出発点、シリコンウエハー
半導体製造の土台となるのがシリコンウエハーです。
シリコンは地球上に豊富に存在する元素であり、主に石英(SiO2)から高純度化されます。高純度シリコンは単結晶インゴットとして育成され、それを薄くスライスしたものがシリコンウエハーです。現在の主流は300mmウエハーですが、一部では200mmや150mmも使用されています。
ウエハー表面は鏡のように平たんであり、その平たん度はnm単位で管理されています。わずかな反りや傷でも歩留まり低下につながるため、超精密研磨によって極めて高い品質が維持されています。
この1枚のウエハーの上には、数百個から数千個もの半導体チップが形成されます。つまり、ウエハーは「半導体を大量生産するためのキャンバス」といえる存在なのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


