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Waymoが自動運転AI戦略を解説、「単一AIモデルのE2E方式には2つの問題がある」自動運転技術(2/3 ページ)

米国で自動運転車によるモビリティサービスを展開するWaymo(ウェイモ)が、2009年スタートの「Google Self-Driving Car Project」から開発を積み重ねてきた自動運転技術に基づく同社のAI戦略について説明した。

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自動運転技術に関する7つのポイント

 ティルマライ氏は、Waymoにおける10年以上の自動運転技術開発や3億km以上の走行実績を持つ商用サービスを通して得た知見に基づく、自動運転技術に関する7つのポイントを紹介した。

 1つ目は、カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、レーダーから成るマルチモーダルセンサーの必要性だ。カメラは優秀なセンサーであり、セマンティクス(意味情報)の認識に力を発揮する。一方で、LiDARは車両周辺の3次元構造の把握に有効で、レーダーは雨や霧などの悪天候時でも高い検知能力を有しており、これらのセンサーは互いの弱点を補完し合う。特に、前例のない困難な状況(ロングテール)を検出する上でマルチモーダルセンサーの相互補完性が欠かせない。ティルマライ氏は「そのためにわれわれはシステムからセンサーを減らすのではなく、センサーのコスト効率を高めるというアプローチを取っている」と説明する。

マルチモーダルセンサーの必要性
マルチモーダルセンサーの必要性[クリックで拡大] 出所:Waymo

 2つ目はHDマップ(高精度地図データ)の重要性である。E2E方式の自動運転技術の開発が進み、AI技術の進歩も相まって地図データはHDマップではなく従来のものでも十分ではないかという意見も出始めている。ティルマライ氏も「HDマップがなくても自動運転ができるのか。答えはイエスだ。実際に工事区間など現実の道路状況が地図データから変化している場合は、その場の状況を認識して走行している」と述べる。

HDマップの重要性
HDマップの重要性[クリックで拡大] 出所:Waymo

 しかしWaymoは、HDマップは自動運転技術であるWaymo Driverの安全性を大きく高めるものであり、検証プロセスを迅速に立ち上げ、新しい都市でも初日から完全自動運転サービスを提供できるようにするには必須だとしている。「HDマップはもう1つのセンサーであり、一種の記憶として捉えている。視界が悪い状況や複雑な幹線道路などではこの記憶が極めて重要な役割を果たす」(ティルマライ氏)という。

 3つ目は、自動運転ソフトウェアの構成として「モデルは数を減らして大きくする方がよい」という方向性だ。Waymoが当初開発していた自動運転ソフトウェアは、小規模で特定の役割に特化したモジュールを多数組み合わせて実現していた。このソフトウェア構成は開発スピードを高める上でのは効果的だったものの、システムが複雑に絡み合い保守が困難な「モジュールのスパゲティ状態」に陥っていた。そこから、少数の高性能な基盤モデルへの集約を進め、膨大なデータセットとコンピューティング能力を最大限活用できるように変えていった。ティルマライ氏は「ただし、モデルの数を減らすことが、E2E方式のように説明不能な1つのブラックボックスに全てを委ねるということを意味するわけではない」とくぎを刺す。

「モデルは数を減らして大きくする方がよい」という方向性
「モデルは数を減らして大きくする方がよい」という方向性[クリックで拡大] 出所:Waymo

 4つ目は、大規模なクローズドループシミュレーションが不可欠なことだ。シミュレーションには出力結果をフィードバックしないオープンループと、フィードバックするクローズドループがある。自動運転車における合流、割り込み、狭い道で走行などでは、その意思決定から起こる連鎖反応はフィードバックのあるクローズドループシミュレーションでなければ検証できない。また、Waymoは、Googleの最新の世界基盤モデルである「Genie3」を活用しており、発生する可能性が低い事象(エッジケース)をシミュレーター内でWaymo Driverに体験させることで、実際の配車サービスの安全性の向上に役立てているという。

大規模なクローズドループシミュレーションが不可欠
大規模なクローズドループシミュレーションが不可欠[クリックで拡大] 出所:Waymo

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