商船三井、車両移動用「スケーター」で業務を効率化:船舶技術
商船三井は、大和チエン工業および商船三井テクノトレードと共同で、自力走行が困難な車両を短時間で移動できる車両移動用「スケーター」を開発し、自動車船全船への配備を開始した。これにより、荷役の停滞や出港遅延の抑制を図る。
商船三井は2026年7月22日、大和チエン工業および商船三井テクノトレードと共同で、自動車船内で一時的に自力走行ができなくなった車両を移動させる専用機材「スケーター」を開発し、運航する全ての自動車船への配備を開始したと発表した。
同機材は、燃料不足やバッテリー放電などで走行不能になった車両を迅速に移動させることを目的とする。従来はけん引車の手配が必要だったが、スケーターの活用により対象車両を約5分で移動できるようになり、荷役作業の停滞や出港遅延の低減につなげる。
自動車船では数千台規模の車両を高密度で積載する。車両間隔は前後約30cm、左右約10cm、高さ方向の最小クリアランスは10cmと限られており、決められた順序で積み降ろしを行う必要がある。
そのため、船内で自力走行できない車両が1台でも発生すると周辺車両の移動にも影響し、荷役全体の停滞につながることが課題となっていた。特にけん引車による対応が必要な場合、車両到着まで待ち時間が発生するほか、港によってはけん引車の確保が難しく、復旧までに長時間を要するケースもあった。
今回開発したスケーターは、走行不能となった車両に直接取り付けて移動を支援する専用機材である。外部機材の手配に依存せず、船内で速やかに対象車両を移動できるため、荷役作業を早期に再開できる。また、寄港地の設備環境に左右されず、世界各地の港で同一の対応が取れる。荷役工程の安定化に加え、定時運航の維持や輸送品質の向上にもつながる。
自動車輸送では、自動車メーカーや物流事業者から求められる輸送量の増加に対応しながら、安定した運航と定時性の確保が重要な課題となっている。自動車船は限られた船内空間に多数の車両を積載するため、1台のトラブルが荷役全体へ影響を及ぼす可能性がある。
近年は電動車の普及拡大に伴い、バッテリー放電などによって一時的に走行できなくなる車両への対応も重要性を増している。このような状況を受け、船内で迅速に車両を移動できる機材の需要が高まっていた。
商船三井は、スケーターの導入により、自動車船の荷役作業におけるボトルネックの解消を見込む。今後も安定した自動車輸送体制の構築を進め、安全かつ高品質な輸送サービスの強化を図る方針だ。
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