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弱い部分が1箇所でもあると台無しに、液晶リペア装置の失敗事例冴えない機械の救いかた(9)(1/4 ページ)

本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第9回は、弱い部分が1箇所でもあると全体が台無しになってしまうメカの事例として、液晶リペア装置で発生した位置決め不良を取り上げる。

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 「せっかくのデートなのに、カラーフィルムを持ってくるのを忘れてしまった彼氏さん」のような機械を救うシリーズです。今回から、弱い(剛性の小さな)部分が1箇所でもあるだけで“台無しメカ”になってしまった事例を紹介します。最初は「液晶リペア装置」です。

 これも20年くらい前の話ですので、現在の液晶表示パネルではどのように対応しているのでしょうか。筆者が勤めていた当時、レーザーの研究者とおしゃべりしていたときのことです。「赤外線レーザーの仕事って、何でもかんでもレーザー光をパシッと当てるんですよ」とか話していました。

 あるとき、その方にとても緊張を強いられる仕事が舞い込んできたそうです。液晶でも有機ELでもない、別方式のフラットパネルディスプレイの試作品が持ち込まれました。あと数日で国内最大の家電展示会があり、展示したいとのことです。何らかの事情で、その試作品にレーザー光を当てたいという話でした。

 当てる場所を間違えるとパネルを壊してしまいます。展示できるパネルはごく少数なので、会社のトップに近い方が心配されてレーザー光照射に立ち会ったとのことです。

 今回お話しする1例目は、このような緊張は伴いませんが、液晶生産工場で行われる液晶表示パネルの輝点欠陥をなくす装置の仕事です。液晶リペア装置と呼ばれます。では始めましょう。

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液晶輝点欠陥

 液晶輝点欠陥とは、黒く表示したいのに明るいドットとして表示されてしまう画素欠陥です。色には膨張色というものがあって、白、赤、黄、オレンジなどの明るい暖色系(高明度/暖色)の色は実際よりも大きく見えます。つまり、目立つのです。

 図1に液晶表示パネルを示します。パネルを拡大すると赤、緑、青のドットがありますね。虫眼鏡で見てみてください。

液晶表示パネル
図1 液晶表示パネル[クリックで拡大]

 例えば図2のように赤色に光る輝点欠陥があったとすれば、人にはそれが明るく大きく見えてしまいます。つまり目立つわけです。実は昔買った中古液晶モニターに赤色輝点欠陥があり、店員さんはそのことをしっかり説明してくれたのですが、筆者は気にせず使っていました。図2のような感じです。

赤色輝点欠陥の例
図2 赤色輝点欠陥の例[クリックで拡大]

 逆に、白く表示したいのに光らないドットがあるとしましょう。今度は画面の大部分を占めている白色側が膨らんで見えるので、気付かないそうです。

 液晶パネルに輝点欠陥がある場合は、そこに赤外線レーザー光をパシパシパシっと当てて光らなくして出荷していたそうです。昔の話なので、今はどうしているかは不明です。この機械が液晶リペア装置となります。

 赤色輝点欠陥を光らなくするときのレーザー光の照射点とその経路の例を図3に示します。もちろん、リアルな照射経路はお話しできません。

レーザー光の照射点とその経路の例
図3 レーザー光の照射点とその経路の例[クリックで拡大]

 レーザー光照射点に要求される位置決め精度を見積もりましょう。私の携帯の表示画面は縦横136×63[mm]くらいで、画素数は838×1792[pixels]なので、1画素の寸法は0.076[mm]くらいです。

 図3の経路が10本あって、位置決め精度が経路ピッチの5分の1くらいとすると、要求される位置決め精度は画素寸法の10分の1の5分の1、つまり画素寸法の50分の1なので、要求位置決め精度は1.5[μm]程度となります。

 自宅の液晶モニターは、縦横530×300[mm]くらいで、画素数は1920×1080[pixels]なので、1画素の寸法は0.275[mm]くらいです。画素が粗い液晶モニターでも、要求位置決め精度は5.5[μm]程度になります。

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