「環境に良いことしかやらない」 MIRAI-LABOはなぜ独自製品を生み出せるのか:製造業“X”探訪(6)MIRAI-LABO(2/3 ページ)
多くの製造業がDXで十分な成果が得られていない中、あらためてDXの「X」の重要性に注目が集まっている。本連載では、「製造業X」として注目を集めている先進企業の実像に迫るとともに、必要な考え方や取り組みについて構造的に解き明かしていく。第6回は「環境に良いことしかやらない会社」を掲げるMIRAI-LABOを取り上げる。
道路で発電する「Solar Mobiway」
「環境に良いことしかやらない」をコンセプトに、THE REBORN LIGHTとほぼ同時に開発されたのが、太陽光路面発電パネル「Solar Mobiway」だ。この製品は、道路に敷設し、道路で発電するための太陽光発電パネルだ。
再生可能エネルギーの1つである太陽光発電は、発電パネルを設置するために広い場所が必要である。従来は国土の7割を占める山地を活用するという発想で、多くの山林が切り開かれてきたが、自然破壊や土砂崩れなどさまざまな問題を引き起こしている。「環境に良いことしかやらない」という理念からすると受け入れられないことだった。そこで、日本の国土の2%を占める道路に敷設する発想へと切り替えて、これを実現するための技術の開発に取り組んでいる。40トン級のトラックが通る道路でも耐え得る太陽光発電パネルやシステムに関する技術開発が今も続けられている。
こういう考え方は、既存の固定観念を持つ企業では出てこない。理念が先にあり、それを実現するという堅い意思があるMIRAI-LABOだからこそできる発想である。それが、従来にない製品の形を生み出しているといえる。
Solar Mobiwayは、40トン級のトラックが通る道路でも耐え得る技術開発についてはほぼめどが立っているというが、従来はコストが合わないという理由でなかなか普及が進まなかった。しかし、その技術評価の結果が、環境規制が厳しい欧州市場(特にフランス)で大きな話題となり、さまざまな媒体で取り上げられ、海外先行で注目度が高まっている。日本では、駅や商業モール、コンビニエンスストアの駐車場などで実証が進んでいる。
製品のバリエーション強化も進んでいる。40トンクラスの車両が通行する道路にパネルを敷設する場合、設置工事を含めると1カ月前後の期間が必要になる。そこで、もう少し手軽に試せるように、2トントラックの荷重にも耐えられる歩道用製品として「Solar Mobiway block」を用意した。この製品であれば、既存の歩道用タイルと入れ替えるだけで済むため、最短1日で敷設が可能となる。
2026年6月には、MIRAI-LABOに隣接する「イオン八王子滝山」にSolar Mobiway blockが設置されたことが発表された。MIRAI-LABOでは、Solar Mobiway blockによる分散発電と、EVリパーパス蓄電池による分散蓄電を組み合わせることで実現できる、自律型エネルギーインフラを「AIR(Autonomous Intelligent Road)」と名付け、エネルギー面での地産地消の実現に貢献する方針だ。
資本提携や業務提携を展開しパートナーを拡大
MIRAI-LABOでは、環境を軸に自社の技術を徹底的に磨き上げる一方で、事業推進については資本業務提携を積極的に実施し、パートナーネットワークを活用して事業を拡大する方向性を明確にしている。
現在、オークネット、ENEOSホールディングス、やまびこ、センコーグループホールディングス、東京センチュリー、日本パーキング、あいおいニッセイ同和損害保険の7社と資本業務提携を結んでいる。この他にも多くの企業と業務提携を結び、これらのパートナーネットワークを活用しながら、事業拡大を進めている。
資本業務提携は、1業種1パートナーを基本とし、これにより、リスクを共同で抱えながら市場拡大を進める目的を共有している。その際、それぞれのパートナー企業の持分比率に一定の制限をかけている点も特徴だ。MIRAI-LABOがやりたいことを外部資本によって妨げられることを回避しつつ、一緒に市場を狙いにいくという方向性が一致すれば、資本を受け入れるというスタンスを取っている。
資本業務提携の多くは、リパーパスバッテリーを各業界で活用するための仲間作り(MIRAI-LABOが言う環境プラットフォーム)である。例えば、貸し駐車場大手の日本パーキングとは、Solar Mobiwayを駐車場の車路に設置し、発電した電気をEVリパーパス蓄電池に充電、そのエネルギーを駐車場内で自家消費する「ZEP(ゼロエミッションパーキング)」という新たな概念を打ち出している。ここでは、系統連系しない自家消費型のシステムを生み出すことで、地産地消エネルギーの実現を図る新しいエコシステムへの道を切り開いている。
業務提携として、新たな取り組みを進めているのが、三菱自動車工業(三菱自動車)との自律型スマート街路灯の製造/販売での協業だ。これは、THE REBORN LIGHT smartの蓄電部分に三菱自動車の「アウトランダーPHEV」の使用済みバッテリーを再利用したものだ。協業内容は、まずバッテリー調達の面で、三菱自動車に使用済み自動車用バッテリー(アウトランダーPHEV)の提供および、個数確保などを担ってもらう。さらに、販売面でも、三菱自動車が販売パートナーとして販売を行う。三菱自動車では、地域づくり事業および重点対策加速化事業に選定されている自治体や企業への販売を狙う戦略を取っているという。
平塚氏は「従来、THE REBORN LIGHT smartの蓄電池は日産自動車のリーフのものを再利用し、それで各種検証や試験を行い製品として展開してきた。ここに、新たに三菱自動車との協業で、アウトランダーPHEVの再利用蓄電池についても使用できるように検証を行い、使えるようにした」と語る。
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