職人の暗黙知を現場力と独自のシミュレーション基盤で実装 燈のフィジカルAI戦略:人工知能ニュース(2/2 ページ)
東京大学発のAIスタートアップの燈は、フィジカルAIに関する取り組みについて説明した。同社は現実空間を高度に再現する自社開発のシミュレーション基盤「Melchior」とAIモジュールを組み合わせ、さまざまなソリューションを実現可能にしている。
Melchiorを活用し、仮想の建設現場や工場で学習/検証が可能
Melchiorは現場に実装する前にロボットの動作を確認するなど、仮想の建設現場や工場で学習/検証が可能だ。スマートフォンなどを活用して3Dデータをデジタルツイン上に構築し、シミュレーション環境から実機のロボットへの動作連携を一気通貫で実行できる。また、制御方式が異なるロボットメーカーやヒューマノイドなど新世代のロボットでも、まとめてMelchiorで扱うことができるのも大きな強みである。
ROS(ロボットオペレーティングシステム)との違いについて、石本氏は「われわれの見解として、ROSは汎用的なソフトウェアをつないでいく基盤であると認識している。現場にロボットを実装する際の品質や安全といった正確な制御を実現していく上で、ROS単体では現場導入のハードルを残している部分が大きい。この部分に対して、われわれはMelchiorを通じて活用できる、現場の課題を解決することに特化した機能を日々開発しており、現場実装のコストを抑えることが可能である」とコメントする。
セミナー会場では、Melchiorと実機のロボットアームを接続したピッキング作業のデモンストレーションを披露した。ロボットに組み込まれたカメラから得た画像情報を基にネジや箱の位置を認識し、対象物の違いに応じた適切な力加減で柔軟に部品をつかみ上げて移動させた。
今後の展望について、燈は全ての現場の末端設備を連携可能にし、現場全体の最適化を目指す。石本氏は「デジタルツインを通じて現場の設備やロボットデータの収集/蓄積/学習を進め、現場でロボットが動き回り、設備と一緒に現場を回し続ける状態を作りたいと考えている。われわれは日本の生産力を次世代に引き継いでモノづくりの基盤を守り抜くために、フィジカルAIが世の中に当たり前に浸透しているような未来を実現したい。そのために、AIの恩恵を世の中に広げて日本のけん引役になるためにフィジカルAIの社会実装を進める」と述べた。
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