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「日本がいないと成り立たない」世界へ、フィジカルAIが導く独自の交渉力人工知能ニュース(1/2 ページ)

Laboro.AIはメディア向けAI勉強会を開催し、2026年の業界トレンドや、日本の生存戦略となる次世代AIの動向を解説した。「SaaSの死」に伴うソフトウェア開発の変化や、グローバルなエコシステムで不可欠性を目指す「フィジカルAI」としての勝ち筋を語る。

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 AI(人工知能)を巡る開発競争の潮目が、大きく変わりつつある。これまでは大規模言語モデル(LLM)のパラメータ数やベンチマークスコアを競う「モデル単体の性能競争」が注目の中心であった。しかし、現在の主戦場はすでにそこにはない。実社会の複雑なシステムを自律制御する「AIエージェント」や、現実の物理空間に直接作用する「フィジカルAI」へのシフトが急激に進んでいる。

 こうしたパラダイムシフトが進行するなか、オーダーメイドのカスタムAI開発を手掛けるLaboro.AIは2026年6月11日、メディア向けAI勉強会を開催した。勉強会では、Laboro.AI 代表取締役CEOの椎橋徹夫氏が登壇し、2026年の最新AIトレンドと、日本の製造業がグローバルで勝機を見いだすための生存戦略について解説した。

性能勝負からエージェントへ、AIの主戦場は実社会の自律制御に

AI開発の主戦場の変化
AI開発の主戦場の変化[クリックで拡大] 出所:Laboro.AI
Laboro.AIの椎橋徹夫氏
Laboro.AIの椎橋徹夫氏

 2026年上半期におけるAI業界のトレンドとして、開発の主戦場が変化していることが挙げられる。椎橋氏は、「これまでのOpenAIやAnthropicなどに代表される開発競争は、大規模言語モデル(LLM)のパラメータ数やベンチマークスコアを競う『モデル単体の性能向上』が主流だった。しかし現在は、実社会の複雑なシステムを自律制御する『エージェント』の実装へとフェーズが移行している」と指摘した。

 モデル単体の推論能力が高まっても、現実社会の課題を単一のモデルで解決することには限界がある。そこで現在重要視されているのが、複数のモデルやシステムを連携させて機能させる「オーケストレーション」のアプローチだ。

 エージェントを意図通りに動かすための構造には、三位一体の実装モデルが重要になるという。基盤となる推論や思考能力を担う「Model(知能)」、システムに対する直接的な操作など意図したアクションを実行するための「Agent Skills(手足)」、AIが安全軌道から逸脱しないように制御するインフラである「Agent Harness(ハーネス)」だ。

三位一体のエージェントAI実装モデル
三位一体のエージェントAI実装モデル[クリックで拡大] 出所:Laboro.AI

 三位一体の実装モデルが機能することで、人間が都度指示を与えなくとも、AIが自律してタスクを処理し続けることが可能になる。「AIの自走時間は、当初の数分間から、数時間から数日へと伸びており、24時間の運用自動化も視野に入り始めている。エージェント技術の発展により、自走するAIエンジニアの実装や、日常業務におけるAIの自律稼働が進むと予想される」(椎橋氏)という。エージェントの実装により、実務の多くをAIが担い、人間はより戦略的な意思決定に注力するといった新しい業務の在り方が形成されつつある。

「SaaSの死」によってソフトウェアはAIが使いやすい形へ

 エージェント技術の発展は、ソフトウェアの在り方や人間の働き方を大きく変化させる可能性を秘めている。近年、業界内では「SaaSの死」という議論が交わされるようになった。これは、AIの進化によって「人間が画面を操作して定型業務をこなす」という従来のSaaSビジネスの前提が崩れ、システム構造や収益モデルの転換が迫られるという見方だ。

SaaSの死がもたらすソフトウェア市場の変化
SaaSの死がもたらすソフトウェア市場の変化[クリックで拡大] 出所:Laboro.AI

 椎橋氏はこの点について、「サービスを使うユーザーが、人間ではなくAIになっていく。作り込まれたSaaSを買うのではなく、AIが人間に合わせたアプリケーションを簡単に開発してくれるようになれば、SaaSの死を迎える」と指摘した。従来のSaaSモデルが変革を迫られるなか、今後のソフトウェアに求められる価値は人間にとって使いやすいUIから、AIが使いやすい共通通信プロトコルを通じたAPI操作や、データベースの精度へと移行するという。

戦略的人事への再定義
戦略的人事への再定義[クリックで拡大] 出所:Laboro.AI

 また、AIリソースの位置付け自体も変化している。椎橋氏は今後の組織づくりについて、「人間とAIが協調し、AIは命令する道具から共に考える『同僚』へと変わる。人事部は、ヒューマンリソースとAIのリソースを一緒に考え、コストカット目的からダイナミックな再配置へと向かう戦略的人事が必要になる」と語った。

 実際にメルカリでは2026年6月に、メルカリ CTOの木村俊也氏がCHRO(最高人事責任者)とCAIO(最高AI責任者)を兼任し、AI前提で組織基盤を再結成することを発表した。企業におけるAIの導入目的は組織設計や人材配置の在り方など、企業経営における本質的な見直しが求められている。

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