価格転嫁を行った製造業は8割以上に、原材料価格の高騰や米国関税への対応で:ものづくり白書2026を読み解く(1)(1/2 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2026年版ものづくり白書」が2026年5月29日に公開された。本連載では「2026年版ものづくり白書」の内容から製造業のDXや競争力などに関するポイントを抜粋して紹介する。今回は市況の変化による価格転嫁の状況に関する動きを取り上げる。
経済産業省、厚生労働省、文部科学省は2026年5月29日に「2026年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」を公開した。
ものづくり白書とは「ものづくり基盤技術振興基本法(平成11年法律第2号)第8条」に基づき、政府がものづくり基盤技術の振興に向けて講じた施策に関する報告書だ。2026年で26回目の策定となる。経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で作成しており、モノづくりに関する基礎的なデータや、その年の課題や政府の取り組み、モノづくり振興施策集などを紹介している。
本稿では、原材料価格の高騰や米国関税問題への対応などで推進せざるを得ない状況となった「価格転嫁」について、2026年版ものづくり白書の第1章第2節および第4章第1節の内容を基にまとめた。
製造業の課題感は「原材料価格の高騰」「人材不足」などが上位に
ものづくり白書の作成に向けて実施された三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」によると、「事業に影響を及ぼす社会情勢の変化」として大企業において最も大きかったものは「原材料価格の高騰」となった。次いで「人材/労働力不足」「為替変動」「エネルギー価格の高騰」「物流コストの上昇とキャパシティー不足」「地政学リスク、経済安全保障」などが上位に挙がった。
中小企業で見ると、「原材料価格の高騰」と「人材/労働力不足」は大企業と同じだが、次いで「エネルギー価格の高騰」や「賃上げ要請」などコスト上昇に関する懸念が強く出ていることが分かる。
企業規模別の事業に影響を及ぼす社会情勢の変化[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」
影響を与えた通商政策では「米国関税措置」が圧倒的多数
また、地政学リスクに関連し「製造事業者に影響を与えた各国の通商/産業政策の変化」を聞いたところ「米国関税措置」が47.4%となり、圧倒的な比率で1位となった。次いで「米国による対中半導体規制の強化」(18.0%)、「中国によるレアアース輸出制限」(17.9%)、「欧州によるロシア制裁に関わる各種規制」(11.7%)などが続いているものの、米国関税措置に比べると影響は小さいと認識されているようだ。
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