「服のデジタルパスポート」 年間24億着が未処理廃棄のアパレル産業で実証:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
NTTドコモビジネスとCYKLUSは、アパレル製品の履歴や環境指標を一元管理するDPPの共同実証実験を開始した。衣類の大量廃棄問題の解決に向け、2027年秋の商用化と循環型ビジネスモデルの確立を目指す。
NTTドコモビジネスとCYKLUSは2026年6月1日、アパレル製品にDPP(デジタルプロダクトパスポート)を導入する共同実証実験を開始したと発表した。
実証実験では、製品の原材料調達から修理、リサイクルに至るまでの履歴や環境指標などの情報をDPPを通じて一元管理し、製品の長期利用を促す仕組みの検証を行う。デジタル情報の基盤には、NTTドコモビジネスが提供する再生資源循環ICTプラットフォームを活用する。実証を通じて関係事業者によるシステムへのデータ入力負荷や最適な運用方法を確認し、2027年秋ごろのアパレル向けDPPの商用化と社会実装を目指す。
約24億着の衣類が未使用のまま処分されている
国内のアパレル産業においては、近年、衣類の大量廃棄が課題となっている。日本国内の年間新規供給量は重量で約82万トン、着数にして約35億着に上るが、そのうち約7割に相当する56万トンが資源回収されずに可燃/不燃ごみとして処分されている。
こうした現状を受け、経済産業省は2024年に「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」を策定した。製造工程におけるエネルギー使用量や販売製品の廃棄量、回収した衣料品の処分方法などの項目について、2026年をめどに国内の大手アパレル企業に情報開示を求める。2030年度には国内主要アパレル企業の情報開示率を100%とする目標を掲げている。
このようにアパレル製品を作って売って終わりにせず、購入後も長く使い続けられる仕組みの構築が急務となっており、循環型ビジネスを支える製品情報の一元管理や、サプライチェーン上の関係事業者をつなぐ情報基盤の重要性が高まっている。
NTTドコモビジネスがアパレル分野に初参入
NTTドコモビジネスはGX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けて、脱炭素社会、自然再興、循環型経済の3軸で事業を展開している。具体的には、鉄鋼やICTなど業界横断で利用できる再生資源循環プラットフォームの開発や、サプライチェーンにおけるデータ連携ソリューションの提供などを推進してきた。今回は循環型経済に向けた取り組みの一環として、NTTドコモビジネスとして初めて、アパレル分野の仕組みづくりに参入し、共同での実証実験を実施する。
NTTドコモビジネス スマートインダストリー推進室 室長の前田亮氏は、「もともと当社はブランドや服に関する知見を持たない状態からのスタートだったが、資源循環に関する協議会などに参加する中で、アパレル領域に深い知見を持つCYKLUSとの出会いがあった」と明かした。CYKLUSが持つ循環型ビジネスのデザインや修理に関するノウハウと、NTTドコモビジネスのICT基盤を掛け合わせることで、アパレル業界特有の要件に対応するシステム構築を進めたという。
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