G-SHOCKの進化を支えた材料活用の歴史、初代でウレタンを採用したワケ:素材で進化する製品(2)(3/3 ページ)
1983年の発売以来、堅牢な腕時計として愛されるG-SHOCK。そのタフさとデザインは、さまざまな素材の活用とともに進化してきた。初代のウレタン採用秘話から、フルメタル、カーボンの活用など、G-SHOCKの素材進化について、カシオに聞いた。
フルチタンG-SHOCKを実現
2020年には、G-SHOCKとして初めてフッ素エラストマーバンドを採用した「GWF-A1000」を発売した。GWF-A1000は、ダイバーウォッチ「FROGMAN」シリーズの1つだ。なお、これまでのFROGMANシリーズではウレタン樹脂製のバンドを採用していた。
齊藤氏は「フッ素エラストマーバンドは、ウレタン樹脂製のバンドと異なり、汚れが付きにくく、加水分解(経年劣化)にも強いのが特徴だ。厚みがありながら柔らかいソフトな触感を実現しており、白などの明るいカラーでも汚れを気にせず使用できる実用性もある」と述べた。
2021年には日本製鉄がパートナー企業と協力して開発したチタン合金「TranTixxii(トランティクシー)」を初めて採用したG-SHOCKとして「GMW-B5000TR-9JR」を発売した。従来のチタン合金は加工性が低く、フルチタンで美しい鏡面のバンドまで作り上げるのが難しかったという。TranTixxiiは、純チタンの約2倍の硬度を持ちながら、ステンレスと同等の優れた加工性と鏡面性を有している。「これにより、傷に強く、軽くて、宝石のように輝くフルチタンG-SHOCKを実現した」(齊藤氏)。
近年は、昨今の環境意識の高まりを受け、トウゴマやトウモロコシなどを原料としたバイオプラスチックをケースとバンドに採用したG-SHOCKが販売されている。なお、G-SHOCKで初めてバイオプラスチックが採用された製品は、2023年3月に発売されたマルチスポーツ対応の「GBD-H2000」だ。
さらに直近では、シリコーンバンドの表面にのみ耐摩耗性に優れた薄いウレタンフィルムをコーティングした「タフシリコーンバンド」を開発し、2025年1月発売の「FINE METALLIC SERIES」に初採用した。タフシリコーンバンドは、表面にウレタンフィルムをコーティングすることで、シリコーン素材の引き裂きに弱いという課題を克服している。
齊藤氏は「G-SHOCKでは今後も新しい素材の活用に挑戦する。弱点を持つ新素材は、独自の構造や技術で弱みを克服した上で、採用することにより、今までにない新しいG-SHOCKを開発したいと考えている」と展望を明かした。
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