「OSSを安心して使えない」から脱却へ、カギを握る「OSPO」とは何か:製造業×DX キーマンインタビュー(2/3 ページ)
IPAと三菱電機は「OSPOレベル1構築ワークショップ」成果発表会を開催した。本稿では、この発表会の内容を紹介するとともに、主催するIPAおよび三菱電機へのインタビューの内容をお送りする。
ワークショップ参加企業の具体的なOSPO関連活動は?
成果発表会では、主催企業の1つである三菱電機に加え、ワークショップに参加した企業の中から、リコー、西日本旅客鉄道(JR西日本)/JR西日本ITソリューションズ、GovTech東京、ダイキン工業、NECソリューションイノベータ、パナソニック オートモーティブシステムズ、オムロン、ティーネットジャパン、ルネサスエレクトロニクスの9組10社が登壇し、発表を行った。これらの取り組みの一部を紹介する。
OSPO活動でワクワク感を重視する三菱電機
2025年4月にOSPOに当たるオープンソース共創推進部(2025年10月にオープンソース&インナーソース共創推進部に進化)を設立した三菱電機では「活動のワクワク感を大切にしている」(三菱電機 追立氏)という。OSPOサービスメニューとして、OSSを最適に利用するためのサービスメニューをカタログとして展開する他、各種ガイドラインの発行なども進める一方、マグロをモチーフとしたマスコットキャラクターを用意し、ナレッジ共有を進めた社員の表彰などに活用しているという。
ワークショップをきっかけに2026年4月にOSPO設立したリコー
「OSPOレベル1構築ワークショップ」をきっかけに2026年4月1日付でOSPOを設立したのがリコーだ。リコーでは、OSS活用のために2006年にはOSS委員会が発足していたが、20年が経過する中でさまざまな取り組みが形骸化しつつあり、体制を再構築する中でOSS委員会をバージョンアップし、OSPO設置に踏み切ったという。今後は、新設したOSPO体制の確立を進めるとともに、OSS利用診断の自動化やグローバル展開、ISO 5230取得などに取り組んでいくとしている。
2025年4月にOSPOを立ち上げたパナソニックオートモーティブシステムズ
自動車業界のSDV(ソフトウェアデファインドビークル)化が進む中で2025年4月にCTOの決断でOSPO設立を行ったのがパナソニック オートモーティブシステムズである。OSPOには、知的財産担当、商品開発担当、SaaS開発担当、OSS開発担当、セキュリティ担当など、さまざまなスキルを持つ人材を集めてスタートしたという。OSPOを中心にOSS関連の各種ドキュメントの体系化と再整理を行い、OSS基盤プロセスを構築したほか、OSS業務のフレームワーク構築に取り組んでいる。また、ISO/IEC 5230認証取得への準備も開始した。
特に窓口一元化を目指して構築したOSSポータルは、閲覧者累計が2026年3月までに約2万人となるなど、OSS利用のハードルを下げるとともに、人依存の体制を改めることができたとしている。
欧州CRA法対策としてOSS管理強化を進めるオムロン
オムロンは、欧州CRA(サイバーレジリエンス法)対策として、OSS管理強化を進める一環で、OSPO設立を検討し、「OSPOレベル1構築ワークショップ」に参加したという。欧州CRA法に対応するために、SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)による管理の必要性が訴えられているが、オムロンは約20万製品の取り扱いがあるため、これら全てのSBOM管理を行うのは簡単なことではない。ただ、現状OSS管理に対応する人員がほとんどいないため、まずは、製品セキュリティ推進体制の中にOSPO機能を立ち上げ、徐々に拡充を進める方針を示している。
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