検索
連載

欧州に迫り来るPHEV淘汰の危機和田憲一郎の電動化新時代!(63)(2/3 ページ)

欧州においてPHEV(プラグインハイブリッド車)が重大な転換点を迎えている。欧州委員会がPHEVのCO2排出量算定方法を2025年および2027年の2段階で変更する規制を導入しており、2027年以降は、PHEVのCO2排出量がガソリン車やHEVと同等、あるいは車種によってはHEVを上回るCO2排出量と評価される可能性が高く、環境対応車としての優位性は失われる。

Share
Tweet
LINE
Hatena

欧州委員会の公式報告書でも大きな乖離が明らかに

 PHEVのCO2排出量に関する公称値と実走行時の乖離について、決定打となったのが、2024年3月の欧州委員会による報告書である。欧州委員会は、2021〜2024年にOBFCMを搭載した車両から約60万件に及ぶ実走行データを収集し、その詳細な分析結果を公表した(図2)。主な内容は以下の通りだ。

図2
図2 CO2排出量に関するWLTP公称値と実走行時の乖離[クリックで拡大] 出所:欧州委員会

ディーゼル車およびガソリン車の乖離状況

 実走行時の燃料消費量およびCO2排出量は、WLTP型式認証試験に基づく公式値と比較して平均約20%高い水準であることが確認された。この乖離幅は、欧州委員会が事前に想定していた範囲内に収まっている。

PHEVにおける顕著な乖離

 PHEVの実走行時CO2排出量は、WLTP公式値の平均3.5倍に達することが明らかとなった。この結果は、PHEVが想定されていたほど頻繁に充電されておらず、電動走行が十分に活用されていない実態を示している。つまり、車両が本来有する環境性能が実使用環境において十分に発揮されていないことが裏付けられた。

重量級車両における乖離の拡大

 乖離はSUVや高級車など、もともと排出量が大きい重量級車両において特に顕著である。車両の大型化/重量化が進むことで燃費効率向上の効果が相対的に弱まり、車両全体に見られる傾向をさらに深刻化させる可能性が指摘された。

今後の課題と展望

 今後は、OBFCMデータのさらなる蓄積を進めるとともに、実走行値と認証値の乖離がどのように推移するかを継続的に監視する必要がある。また、乖離の拡大を抑制するための政策的/技術的対策の検討が求められる。

PHEVに関するUF改正後の予測

 環境NGOであるT&Eは2025年9月、前述の規制改正を踏まえた今後のCO2排出量算定に関する予測結果を公表した。とりわけ、UFの再定義により、公称値が35g/kmであったPHEVのCO2排出量は、同一車両であっても2025年の第1段階では81g/km、さらに2027年の第2段階では114g/kmへと大幅に増加する見通しが示されている(図3)。

図3
図3 UF変更後のCO2排出量変化予測値[クリックで拡大] 出所:T&E

 しかし、T&Eは2027年に予定されているUFの追加修正を適用した場合であっても、PHEVの実走行時の排出量は、依然として公式算定値を約18%上回ると推計しており、今後も継続的な見直しが必要であると結論付けている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る