産業用AIの競争優位性を示す、ハノーバーメッセ 2026が開幕:ハノーバーメッセ 2026
2025年4月20日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2026」(ドイツ・ハノーバー)が開幕する。会期は4月24日までの5日間で、3000以上の企業/団体が出展しインダストリアルAI(人工知能)やロボット、自動化、デジタル化などが、どのように明確な競争優位を生み出せるかを示す。
2025年4月20日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2026」(ドイツ・ハノーバー)が開幕する。会期は4月24日までの5日間で、3000以上の企業/団体が出展しインダストリアルAI(人工知能)やロボット、自動化、デジタル化などが、どのように明確な競争優位を生み出せるかを示す。
グローバル競争やコスト上昇、AIの進展……大きな転換点にある産業界
今回のモットーは「Think Tech Forward」。グローバルな競争やコストの上昇、AIの進展といった大きな転換点にある産業界が、これらの課題をどのように成長機会へと転換していくかを示すとしている。会場では計11ホールを「自動化とデジタル化」「エネルギーと産業インフラ」「研究と技術移転」の3エリアに分けて展示。AIは全展示エリアで共通のテーマとなるが、自動化とデジタル化ではAIを活用したロボットやデータ駆動型モノづくりの他、サプライチェーンのデジタル化、OT(制御技術)セキュリティ、産業用ソフトウェアまでカバーする。エネルギーと産業インフラでは、製造業において持続可能なエネルギー供給に向けた製品やサービスを紹介。研究と技術移転は、研究機関や大学、新興企業や起業家らが、現在および将来に向けたイノベーションやプロジェクトを紹介する。
今回は特に、AIおよびヒューマノイドロボットが製造業にもたらす具体的なメリットの提示に焦点が当てられている。ハノーバーメッセを主催するドイツメッセCEO(最高経営責任者)のJochen Kockler(ヨッヘン・コックラー)氏は「イノベーションが迅速に実用化される場所でこそ、競争力が生まれる。ハノーバーメッセでは、AIを生産的に活用し、それによって付加価値を創出する方法を体験できるだろう。AIは効率の向上、生産性の向上、資源の的を絞った活用を可能にし、データに基づく新たなビジネスモデルを切りひらく」などと述べている。
会場では例えば、Agile Robotsが、周囲の環境を理解し、自律的に意思決定を行い、複雑な産業環境においてリアルタイムで動作するAI駆動型ヒューマノイドロボット「Agile ONE」を公開する。SEW-EURODRIVEは対話を通じて機械やロボットの設定と試運転を大幅に迅速化できるAIチャット機能、シーメンスは自立型梱包ロボットとヒューマノイドがそれぞれ独立して作業を行う柔軟な靴製造ラインなどをそれぞれ展示。ドイツメッセは「これらの例は、ほぼす全ての展示ブースでAIが重要な役割を果たすことを示している。ヒューマノイド分野だけでも、約15社が関連システムを展示しており、この技術がいかに急速に研究段階から具体的な産業用途へと発展しているかを示している」としている。
「HERMES AWARD」「HERMES Startup AWARD」も発表
なお、開幕前夜である4月19日に開催されたオープニングセレモニーでは、ハノーバーメッセ出展企業の応募者の中から優れた技術を表彰する技術賞「HERMES AWARD」および、優れたスタートアップの技術を表彰する「HERMES Startup AWARD」も発表され、Schaeffler(シェフラー)の、ヒューマノイドの関節用途に特化した高集積アクチュエータープラットフォームがHERMES AWARDを受賞した。
HERMES Startup AWARDを受賞したのは、スイスの新興企業BTRYによる、ワイヤレスIoTセンサーやウェアラブルデバイス、医療分野などに向けた、超薄型固体電池だ。同社は半導体産業の生産技術を電池製造に応用し、急速充電、高い耐熱性、そして優れた安全性を兼ね備えた超薄型固体電池を実現。+150℃までの温度環境で使用可能で、厚さわずか0.1mmからでも1分以内に完全な充放電が可能だという。
「EU AI規制から産業用AIを解放するために尽力」とドイツ首相
オープニングセレモニーではドイツのフリードリヒ・メルツ首相も登壇した。
同氏は「AIは産業用途において極めて重要な役割を果たしている。私は欧州のAI規制を簡素化し、可能であれば、現在の過度に制限的なEUのAI規制の枠組みから産業用AIを解放するために尽力していくつもりだ。何年も前、AIアプリケーションモデルの規模を予測することさえできなかったブリュッセルで策定されたようなやり方で、物事を進めるわけにはいかない」と表明。AIは効率性や生産性の向上、資源活用の最適化、さらにはコスト削減に大きく寄与し、その結果として産業競争力の強化につながるとの認識を示した。
同氏は「われわれが正しく取り組めば、AIはわが国における産業の付加価値と質の高い雇用を維持し、新たな雇用を創出することに寄与するだろう。しかし、米国や中国などにおける技術開発の急速な進展を踏まえ、産業用AIにおけるわれわれの有利な立場を確実に活用するために全力を尽くしてこそ、これは実現する」との見方を示した。そのうえで、ドイツが国家の競争力強化を目的とした300億ユーロの基金を立ち上げ、1300億ユーロを超える民間投資を呼び込むことを目指していることを説明。「先ごろ決定(2026年3月18日に発表)したデータセンター戦略によって、ドイツはデジタルインフラを大幅に拡充する。2030年までに、ドイツのデータセンター容量を2025年比で倍増させる」とも強調した。
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