後工程で高まる精度要求、半導体“積層化”支える2次元スケールで描く成長曲線:FAインタビュー
DMG森精機のグループ会社で、高精度のリニアエンコーダーなどを開発、製造するマグネスケールが新たに奈良事業所を開設。開所式に際してマグネスケール幹部が合同取材に応じ、新工場建設の背景や今後の事業展望を語った。
DMG森精機のグループ会社で、高精度のリニアエンコーダーなどを開発、製造するマグネスケールが新たに奈良事業所(奈良県大和郡山市)を開設した。2026年4月9日に行われた開所式に際して、マグネスケール 代表取締役社長の大野治氏と同社 専務取締役 技術統括本部長の田宮英明氏が合同取材に応じ、新工場建設の背景や今後の事業展望を語った。
ソニーの技術を受け継ぎ、DMG森精機の子会社へ
マグネスケールは1969年にソニーマグネスケールとして設立され、2010年にソニーマニュファクチャリングシステムズから事業譲渡されてDMG森精機のグループ会社になった。
社名となっている「マグネスケール」は工作機械などに搭載される磁気式の位置検出システムで、ソニーのテープレコーダーやビデオレコーダーにおける磁気の記録/再生技術を進化させたものだ。
また、同社の高精度リニアエンコーダー「レーザスケール」は半導体製造装置などで使われている。その分解能はpm(ピコメートル、ピコは1兆分の1)で、ホログラム(光)記録/検出技術は、同じくソニーが行っていたCDやDVDなどの研究に端を発している。さらに、磁気スケールやレーザスケールから検出された信号波形を、必要とされるピッチ(細かさ)まで正確に分割する内挿処理技術もソニーから継承している。
大野氏は直近の事業環境について「掛け値なしに非常にいい状況だ」と語る。レーザスケールを提供する半導体製造装置メーカーの活況に加え、データセンター関連も好調だとする。データセンターで使われる冷却装置、電子部品、さらにエネルギー産業向けの工作機械でマグネスケールが使われており、「データセンターが増えることで、レーザスケールだけでなく、マグネスケールも伸びている。さらに造船や航空機向けの大型の工作機械に使われるマグネスケールの需要も増えている」(大野氏)。
森氏は、奈良事業所の開所式で2030年に300億円の売上高を目指すと語った。大野氏は2025年12月期のマグネスケールとしての売り上げを150億円程度とする。目標実現への道筋として重視するのが半導体領域だ。半導体前工程におけるnmレベルの精度が必要な領域では、レーザスケールが使われてきた。売上高300億円に向けて、先端半導体、特に半導体後工程での拡大を見据える。その背景にあるのが、後工程におけるチップレットや3D実装の動きだ。
「従来の後工程で使われる装置はサブμの精度が出ればよかったが、小さくカットしたチップをウエハーに載せたり、積み重ねたりといった作業になると、必要な精度が一桁も二桁も上がる。そのため、高精度なレーザスケールに置き換える動きが数年前から起きている。ウエハーの反りなどに合わせてマウントするためには、これまでのX、Y座標以外にZ座標なども含めた6自由度の計測をしなければならない。そこで、2次元のレーザスケールによって6自由度を測るのが、これからの計測になっていく。われわれの技術ロードマップとしても、6自由度を計測する2次元スケールに重点を置いて開発している」(田宮氏)
「これまでの半導体の世界ではチップの微細化が進んできたが、今はチップを重ね合わせる積層化が進んでいる。重ね合わせるためには、ウエハーの傾きまで検出しなければならないため、それを検出できるわれわれの2次元のスケールが成長エンジンになっていく」(大野氏)
2次元の面として提供するということは、単純な面積計算で、“スティック”のような形状の1次元のレーザスケールの数十本分となり、価格も高額になる。レーザスケールの需要の伸びなどを見込み、レーザスケールを製造する奈良事業所で2030年までに100億円の創出を図る。これによって、現在のマグネスケールとレーザスケールの売り上げの比率は1対2だが、レーザスケールの成長によって比率が1対3になる見通しだ。
将来的には、奈良事業所とこれまでレーザスケールを製造してきた伊勢原事業所(神奈川県伊勢原市)の役割分担を描く。伊勢原事業所で開発案件を受けてプロトラインを構築し、量産化のめどが立った段階で奈良事業所にバトンを渡す。伊勢原事業所は増設を繰り返して、製造の動線が複雑になっている。奈良事業所は自動化設備の導入を前提に設計された。「奈良事業所は量産に特化し、伊勢原事業所は試作などを主に受けるようにしたい」(田宮氏)
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