リーダーシップの壁【後編】 日本と海外の3つのズレにどう対応するべきか:海外駐在員になったら知ってほしい「3つの壁」(2)(1/2 ページ)
多くの製造業が海外での成長を目指す中、海外駐在員の役割は重要になっていますが、思った力を発揮できない場合も多く見られます。本連載では、HR視点でどのような考え方が必要で、どのような協力体制を築くべきかをお伝えします。第2回となる今回は第1回で紹介した「リーダーシップの壁」における3つのズレにどう対応すべきかについてお伝えします。
本連載は、HR(Human Resources)の視点で、海外駐在員がぶつかる「リーダーシップの壁」「連携の壁」「現地化の壁」という3つについて、それぞれの内容と対策を解説しています。
前回は、日本で「良いリーダー」と評価されてきたマネジメントが、海外拠点ではなぜ通用しなくなるのかを整理しました。その背景には、「沈黙」「あうんの呼吸」「助け合い」といった日本では当たり前とされる前提が、異なる文化ではまったく別の意味で受け取られてしまうという、3つの典型的なズレがありました。
では、こうしたズレを前に、リーダーはどのように行動を変えればよいのでしょうか。今回は、このズレに対する具体的な対応策について解説していきます。
現地に合わせるのではなく「Our Style(チームの規格)」を定める
まず、「リーダーシップの壁」への対応策において、前提としてお伝えしたいのが、必ずしも現地のやり方に全面的に合わせ、日本人としての強みを捨てて「郷に入っては郷に従え」を実践することが正解とは限らないということです。特に、部下が複数人いる場合、相手ごとに文化やスタイルを切り替えていては、マネジメントの複雑性が増し、リーダー自身が疲弊してしまいます。
そこで提案したいのが、リーダーシップの標準化です。つまり、あなたの個人スタイルでも部下それぞれのスタイルでもない、そのチーム独自の共通言語や共通ルールである「Our Style(チームの軸)」を設計し、浸透させるという考え方です。
「Our Style」を作る際は、お互いのスタイルを足して2で割るような「妥協点」を探す必要はありません。重要なのは「組織の目的や戦略を実現するために、どのスタイルが最も機能するのか」という機能的な視点でルールを設計することです。
前回取り上げた3つのズレに「Our Style」を適用する場合、次のような解決策が見えてきます。
1. 会議スタイルのズレへの対策:会議の「型」を宣言する
前回は、3つのズレの1つとして会議スタイルの違いがあり、日本型は「ゴルフ型」、海外型は「ラグビー型」であることを説明しました。
会議のゴルフ型とラグビー型には、それぞれの良さがあります。だからこそ、リーダーは会議の冒頭で「このアジェンダは、全員の意見をぶつけ合いたいので『ラグビー型』でいこう」や「次の報告パートは、順序よく進めたいので『ゴルフ型』でいこう」など、その場の「Our Style」を宣言するのです。
これを「ハイブリッドミーティング」と呼びます。例えば「ブレインストーミングの時間は、役職に関係なく遮って発言してOK(ラグビー型)」や「最終決定の確認は、一人ずつ順番に意見を聞く(ゴルフ型)」といった形でアジェンダに明記します。
こうすることで、日本人も現地スタッフも迷わずに、その場の「ゲームルール」に従って能力を発揮できます。もちろん、ゴルフ型とラグビー型それぞれの特徴については、事前に共有しておくことが欠かせません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
