結晶形予測を加速、生成AIで人間の負担を3分の1に:マテリアルズインフォマティクス
NGKとLaboro.AIが、生成AIを活用した科学技術計算シミュレーションソフトの開発手法を共同で開発した。同手法により、生成AIで正確なプログラムを作成できる他、人間の負担を従来の3分の1程度に減らせる見通しを得た。
NGKとLaboro.AIは2026年4月9日、生成AI(人工知能)を活用した大規模な科学技術計算シミュレーションソフトウェアの開発手法を共同で構築したと発表した。NGKは、この成果を「有機化合物結晶探索サービス」における結晶形予測ソフトウェア開発に活用していく考えだ。
大規模な数値計算プログラムを正しく生成できるかを評価
今回のプロジェクトは、NGKが有している赤外線照射と結晶析出に関する理論/実験的知見や、Laboro.AIのAI技術実装に関するノウハウを融合し、製造業において重要なシミュレーション技術の開発を、より正確かつ効率的に進めることを目的に実施した。
赤外線照射は、赤外線を物質に当てることで、分子の振動状態やエネルギー状態に影響を与える手法だ。結晶析出は、液や溶融状態から、分子や原子が規則正しく配列し、固体の結晶として現れる現象を指す。
NGKが提供している有機化合物結晶探索サービスでは、同一の化合物成分であっても、析出条件の違いにより異なる結晶構造を作り分けることを目指している。結晶構造の違いは、溶解性、安定性、成形性などに影響を及ぼすため、特に製薬分野などでは重要な検討要素となっている。
一方で、さまざまな結晶形を得るためには、温度、濃度、赤外線照射条件など、多数のパラメータの組み合わせを検討する必要があり、実験のみで網羅的に検証することは困難なため、シミュレーションによる事前予測を活用した条件の絞り込みが望まれる。
こうした課題に対応するため、NGKとLaboro.AIは、赤外線照射や結晶析出に関する物理化学法則を数式として表現し、大規模な数値計算を行うシミュレーションソフトウェアの開発に取り組んできた。従来、このようなソフトウェア開発は人手による実装/検証が中心であり、プログラムミスのリスクや開発期間の長期化が課題となっていた。
今回の検証では、数式、条件、制約を人間が理解可能な形式で文書化し、それらを生成AIに入力することで、大規模な数値計算プログラムを正しく生成できるかを評価した。
その結果、「守るべき開発ルール」や「手本となるベースコード」を適切に与えることで、生成AIが勝手な簡略化や誤解釈を行うことなく、正確なプログラムを生成できることを確かめた。
そして、汎用的なコーディングエージェントにプログラム実装の大部分を担わせることで、人間の負担を従来の3分の1程度に軽減できる見通しを得た。これにより、開発者は理論や数式の検討、結果の解釈といった本質的な技術検討に、より注力できるようになる。コーディングエージェントは、自然言語の指示に基づき、ソフトウェア開発の計画立案、コードの生成/修正からデバッグまでを自律的に遂行するAIだ。
NGKは、今回検証した生成AIによるプログラム生成手法を結晶形予測ソフトウェアの開発に適用することで、顧客ニーズに応じた機能拡張を迅速に行い、サービス品質および付加価値のさらなる向上を目指す。
また、両社は今後、本手法を他のシミュレーションソフトウェア開発にも展開し、研究開発から社会実装までのプロセスを一層スピーディーに進めていく。
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