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共振はなぜ起きる? ばね−マス系と伝達関数で考える冴えない機械の救いかた(2)(1/4 ページ)

本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第2回は、振動トラブルの背景にある「共振」に焦点を当て、ばね−マス系モデルと伝達関数を用いてその本質を整理する。

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 普通、機械は共振状態にならないように設計します。共振状態とは、機械が持つ固有振動数(「共振周波数」と呼んでもOK)で揺らしたときに、振動の振幅が大きくなる現象です。

 釣り竿を震わせると、竿がよくしなる周期(振動数の逆数)があると思います。これが共振状態です。長めの釣り竿(投げ釣り用ではなく、磯でのグレ釣り用になりますが……)だと、より実感できると思います。

 そして、震わせる周期を短くすると、違う形で震えます。図1に示します。長い周期(低い周波数)で震える状態(図1左側)をモード1、次の周期で震える状態(図1右側)をモード2と、周波数の低い順に名前を付けます。

釣り竿の固有振動
図1 釣り竿の固有振動[クリックで拡大]

 今回は、積極的に機械を共振状態にして稼働させる例です。

 全く同じ図面で、同じ時期に複数台の機械を作ることはよくあります。1号機はうまくいっているのに2号機は性能が出ない、さらに3号機ではボルトが疲労破断する。3号機のボルトを交換すると、なぜか快調に動くようになったが、ある期間が過ぎた後、今度は調子の良かった1号機が悪くなる――といったことが、たまにあります。

 このような現象の理由を説明するために、「ばね−マス系」と呼ばれるモデルを説明していきます。

 動力源の周波数と機械の固有振動数が一致するという、アンラッキーな状態で振動が大きくなった場合も、ばね−マス系を使って対処法を立案します。

自分が設計した機械には、
ばねもおもり(マスのこと)も付いていないんですけど……

 図2に、ばね−マス系のモデルを示します。動かない床に、ばねとダンパーを介して質量mがつながっており、質量mにはf(t)=Fsin(2πft)なる力が作用しています。Fは力の振幅、fは力の周波数、tは時間です。

 このときの質量mの変位x(t)(時間tの関数)を求める問題に取り組みましょう。

ばね−マス系
図2 ばね−マス系[クリックで拡大]

 自分が設計した機械には、ばねもおもりも付けておらず、ダンパーもないのに、どうしてばね−マス系の解説を読まなければならないのか――と思われる方もいらっしゃるでしょう。ですが、少しお付き合いください。

 機械はいくつかの部品から構成されていて、それぞれの部品はある厚さを持っています。つまり部品は連続体です。機械を動かしたとき、それが図3のようにブルブル震えていたとしましょう。機械の振動は、やがて図3右図のように収まります。

 振動が収まる、つまり減衰するということは、板の内部に振動エネルギーを熱エネルギーに変換するものがあると考えられます。これを「ダンパー」と呼びましょう。以降、「ダッシュポット」と呼ぶこともあります。

機械の振動
図3 機械の振動[クリックで拡大]

 今、振動する板を図4のように考えましょう。板の上側は伸びており、縮もうとする復元力が発生しています。板の下側は縮んでおり、伸びようとする復元力が発生しています。つまり、板をばねと考えることができます。

 次に、振動エネルギーを熱エネルギーに変換するものが板の内部にあると考えることができます。内部にあるといっても、何かが組み込まれているわけではなく、材料そのものの特性です。これはダンパーと考えることができます。

 以上のことから、機械をばね−マス系として捉えようという発想になります。

振動する板とばね−マス系のアナロジー
図4 振動する板とばね−マス系のアナロジー[クリックで拡大]

 ばね−マス系は、共振点近傍の振動挙動や振動絶縁の特性を容易に記述でき、振動挙動を理解するために用いられるモデルです。

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