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炭素繊維市場創出の“場”として機能する金沢工大 ICC、参加企業が見いだす意義製造業“X”探訪(3)ICC(後編)(2/4 ページ)

多くの製造業がDXで十分な成果が得られていない中、あらためてDXの「X」の重要性に注目が集まっている。本連載では、「製造業X」として注目を集めている先進企業の実像に迫るとともに、必要な考え方や取り組みについて構造的に解き明かしていく。第3回では、金沢工業大学の革新複合材料研究開発センター(ICC)に参画する4社の製造業の取り組みから、エコシステムの実像を紹介する。

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「なくてはならないパートナーへ」180度評価が変わった津田駒工業

 次に話を聞いたのは、CFRPの加工機械を展開している津田駒工業だ。ICCの中でも、津田駒工業の機械はひときわ大きな場所を占めている。なぜICCに参画したのか、その利点とは何かについて、津田駒工業 執行役員 コンポジット機械部長 準備機械技術部担当の西村勲氏に話を聞いた。

津田駒工業の概要

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津田駒工業の本社外観 出所:津田駒工業

 1909年創業(企業としての設立は1939年)で石川県金沢市に本社を構える繊維機械および工作機械メーカー。2008年から炭素繊維の加工機械分野に進出し、CFRP自動積層機や高精度スリッターを開発。さらなる用途展開を図っている。


 西村氏は「最初は取りあえず付き合ってやるかという気持ちでICCに参加した」と当時を振り返る。津田駒工業は1909年創業で日本の繊維産業を支えてきたトップメーカーの1つである。さらに、既に2008年から炭素繊維向け加工機械分野に進出しており、航空機産業では多くの導入実績を持ち、あえてICCに参画しなくても独自で炭素繊維関連の事業を運営できていたためだ。

 「地元の繊維業界が炭素繊維への進出に活路を見いだそうとしている動きの中で、当社は当時すでにCFRP向け加工装置の導入実績もあった。CFRPはまだまだ市場が限られており、日本の中での装置メーカーも少なかった。そのため、地域への協力のために多少知見を分け与えるというスタンスだった」と西村氏は語る。

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津田駒工業 執行役員 コンポジット機械部長 準備機械技術部担当の西村勲氏

 ただ、実際に参画し、ともに活動を進めるようになってその印象は変わったという。「最近では、受け取るものの方が増えている」(西村氏)。そのため、現在の津田駒工業にとって「ICCはなくてはならないパートナーだ」と西村氏は語る。

 CFRPを含む複合材料の市場は限られており、そのため加工装置の価格も高額である。何に使用し、その使用したものが最終製品としてどのように売れるのかという、出口戦略が重要となる。航空機向けの市場は確立されているが、それ以外の市場をどのように開拓していくかが津田駒工業にとっても大きな課題となっていた。

 その出口戦略を描くのにさまざまな技術を持ち、さまざまな産業へのルートを持つICCは非常に有益なパートナーだった。西村氏はICCとの共創の利点について主に2つの点を挙げる。「1つは共同開発を行う共創先と出会える点、もう1つが出口につながる話をもらえる点だ」(西村氏)。

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ICC内に設置された津田駒工業の複合材料の加工装置。樹脂素材を組み合わせて成形する一連の工程を自動化できている。繊維製造と樹脂成形のノウハウを両立させて実現している[クリックで拡大]

 新しい出口を探すためのさらなる技術開発は、自社だけではリスクが高く、また、これまでと違った技術が必要な場合もある。さまざまな技術を持つICCと組む価値は大きいといえる。また、共創先や出口先を探す上でもICCの持つ“知のネットワーク”は有効だ。つまり、さまざまな企業や研究機関と組んで、実証実験や新たな機器開発を進めていくための「場」としてICCは大きな役割を果たしているというわけだ。

 さらに、他社と共創するための技術情報の共有におけるNDAの結び方や知的財産(知財)の扱いなどの専門的な対応も、一企業の交渉力だけでは足りない場合も多く、その支援などにもICCは力を発揮している。「一般的な大学や研究機関との共創の場合、時として営利企業であるわれわれの感覚とは合わず、事務手続きなどの面で多くの手間がかかったり、時間がとられたりするケースなどがあった。ICCはその点で、民間企業がやるべきことに集中させてくれる点もやりやすい」と西村氏は述べている。

 現在もICCとの共創で、建設業界に対し、鉄筋に変わるFRP筋の市場開拓として、ユーザーへの提案や規制への働きかけを行っているという。

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普及に取り組むFRP筋[クリックで拡大]

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