平均在庫回転日数を11%削減、ライオンがDX活用でSCM基盤を高度化:製造IT導入事例
ライオンは、販売から物流までを一貫管理するサプライチェーンマネジメント基盤を構築し、2025年から本格稼働を開始した。需要と供給の変動を先取りする先行対応型への転換により、平均在庫回転日数の削減などを達成した。
ライオンは2026年2月5日、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して販売から物流までをシームレスに連携させるサプライチェーンマネジメント(SCM)の抜本的な改革に取り組み、2025年から本格稼働を開始したと発表した。需要、供給の変動に即応する「先行対応型SCM」への転換により、同年度は平均在庫回転日数を11%削減し、物流効率を9%向上させるなどの成果を上げている。
新構築したSCM基盤は、オペレーションレベルから最長3年先の戦略レベルまでを一貫管理する仕組みだ。具体的には、サービス、コスト、キャッシュ、リスクの4視点でKPI(重要業績評価指標)を再設計し、日次モニタリングを行うSCMコントロールタワーを構築。これにより、基準に基づくアラート検知や要因把握の精度を高め、部門を横断しての迅速な意思決定を可能にしている。
需要予測においては、社内の実績、計画データに加え、製品特性に応じた外部データも組み込んだ需要予測モデルを構築した。さらに、サプライチェーンプランニングツールの導入により、複数のシナリオを想定した「What-if分析」を実施。需要や供給が変化した際の計画適正化スピードを向上させている。
物流面では、短期から中長期の需要計画と物流計画を連動させることで、リソースの最適配分と機動的な見直しを実施。これらの施策により、2025年度はVision2030 1st STAGE(2022〜2024)の平均と比較して、品切れ件数を50%削減することに成功した。
背景には、原材料価格の高騰や物流費の上昇、地政学リスクの顕在化など、サプライチェーンを取り巻く環境の複雑化がある。同社は、部門ごとに個別最適化されがちだった従来型から脱却し、全社横断で統合管理する体制を確立することで、安定供給と収益性の強化を目指す。2027年度までに在庫回転日数を23%削減、物流効率を15%向上させる目標を掲げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
超複雑な歯ブラシ開発をAIで効率化、ライオンの進化を加速する「DX推進部」
私たちが普段何げなく使う歯ブラシやハミガキなどのオーラルケア製品。これらの製品開発には膨大な時間と試行錯誤を要する。こうした現状を変えようと、AIやデータ分析を用いて変革に向けたDXを推進するのがライオンだ。担当者にDXの取り組みの詳細を聞いた。
生成AIで熟練技術者の暗黙知を形式知化 ライオンがNTTデータと共同で開始
ライオンは、自社の熟練技術者の暗黙知となっている技術や知識を、生成AIにより形式知化する取り組みを、NTTデータと共同で開始する。
日立とライオン、MI活用でハミガキの最適組成を自動提案するシステム開発
日立製作所とライオンは、ハミガキの製造プロセスの課題を事前予測し、最適な組成を自動提案するシステムを開発した。MIを適用した「材料開発ソリューション」を活用している。
子供と楽しく仕上げ磨きできる歯ブラシ、京セラ&ライオン+ソニーが9カ月で開発
京セラ、ライオン、ソニーは、子供向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi」を開発したと発表した。ソニーのスタートアップ創出支援プログラム「SSAP」に参加した京セラ発のアイデアを実現するためライオンが賛同して実現。大手企業3社が関わるものの約9カ月で製品化にこぎつけた。
規制対応で終わるな、2026年CLO義務化を武器に変える「勝つSCM戦略」とは
MONOistが開催したセミナー「サプライチェーンセミナー 2025 秋〜強靭かつ持続可能なモノづくりへ〜」において、ローランド・ベルガー パートナーの小野塚征志氏が登壇した。本稿ではその内容の一部を紹介する。
喉元過ぎた熱さを忘れない、2025年こそサプライチェーン変革に乗り出すべき理由
コロナ禍で苦しんだサプライチェーンの混乱から数年がたち、喉元を過ぎた熱さを忘れた企業も数多くあるが、果たしてそれでよいのだろうか。2025年こそSCM変革に乗り出さなければならない理由について考える。
