DXの先を見据えたQXに取り組む東芝 量子社会の実現に向けた“痛みを伴う歩み”:研究開発の最前線(2/2 ページ)
東芝は「東芝総合研究所 Media Day 2026」を開催し、同社の研究開発における最新の取り組みを紹介した。DXの先にあるQXの実現に向け、組織再編を経て加速する同社の新たな取り組みとは何か
痛みを伴う企業体質の強化から生まれた東芝総合研究所の在り方とは
2023年の12月に東芝は日本産業パートナーズ(JIP)の支援を得て、“株式の非公開化”という道を選んだ。現在は2024年5月に発表した「痛みを伴う企業体質の強化」を実行し、成長が見込まれる領域にリソースを大幅に供給し、成長への足場作りを続けている。
東芝はこれまでの「研究開発が強い」というだけではなく、その成果をいち早く事業化し社会に広げる他、社会に価値を生むソリューションを設計して、実証するという力を伸ばす方針を採用している。これにより、現在の東芝総合研究所の体制を作り上げている。同社は現在「研究開発体制の再編」「経営/研究開発戦略の整合」「オープンイノベーション推進」「未来価値創造活動」の4つの研究開発に関わる改革を進めている。
研究開発体制再編の取り組みとして、これまでコーポレートレベルにあった「研究開発センター」「生産技術センター」「デジタルイノベーションテクノロジーセンター」と、事業会社に所属していた開発グループ「ワークスラボラトリー」を統合して総合研究所を2025年4月に設立した。ワークスラボラトリーはエネルギーやインフラの事業に特化した開発グループだ。「単に組織が移動して1つの研究所になっただけではなく、ICTやAI(人工知能)に強みを持っていた本社の研究開発センターのリソースを、エネルギーやインフラの事業により近いところに移すことで、ITとOTの融合を積極的に進めている」(佐田氏)。
総合研究所の設立に伴い事業と研究の戦略を融合させ、従来の自律性や独立性が尊重されていた組織体制から、経営部門/事業部門/研究部門が協働しながら攻めるべき研究領域を設定し、そこに予算配分をしていくという新たな予算策定プロセスを導入した。
未来価値創造活動の取り組みとしては、同社がこれまで実施してきた「技術長計」活動を総合研究所全体に拡大する。未来洞察の結果をパンフレット化して顧客に提供するとともに、未来を語りあい、一緒に作り上げるという活動を2026年度から始めていく。技術長計の取り組みは、広範な技術領域ごとにどういう技術がいつ利用可能になるかという技術ロードマップと持続的な社会変化を俯瞰できるツールを導入する。これらを顧客とともに見ながら約30年先の社会がどのように変化していくのかも構想。そこからバックキャストして今備えるべき技術を明らかにしていく。
オープンイノベーションの取り組みとしては、総合研究所に所属している海外部門や国内外の大学/研究機関と連携を取りながら、より強い技術を獲得/研究に励んでいる。総合研究所内には新しい棟である「イノベーション・パレット」を設立し、半導体事業を含めた3000人が執務している。イノベーション・パレットでは、これからの研究所を見据えた新しい研究者の働き方を導入し、パートナーや顧客、東芝社内のさまざまな事業部と共創しながら新たなアイデアを発想して作り出すことを目指している。
佐田氏は「イノベーション・パレットの活用も進んでおり、2025年の4月〜12月には、社内/社外合わせて、1830人が来訪し、さまざまなアイデアのディスカッションが行われた。また、これまで研究開発センターが取り組んできた『アンダー・ザ・テーブル』や『ポスター発表会』といった、研究者のアイデアや自律性を尊重するという文化も、今は総合研究所全体で取り組むようになっている」と強調した。
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