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AGCが減収増益、化学品などが不調もモビリティー向け製品が国内で好調製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

AGCは、記者会見を開き、2025年12月期の通期業績で減収増益になったと発表した。同会見の内容を通して、減収や増益の要因について紹介する。

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塩化ビニール樹脂の販売価格下落が影響

 化学品セグメントの売上高は同94億円減の5842億円となり、営業利益は同37億円減の530億円となった。同セグメントは主にエッセンシャルケミカルズ事業とパフォーマンスケミカルズ事業で構成される。

 エッセンシャルケミカルズ事業の売上高は、塩化ビニール樹脂の販売価格が下落したことで、減収となった。パフォーマンスケミカルズ事業の売上高は、価格政策やエレクトロニクス/モビリティ向けなどのフッ素関連製品の出荷増が貢献し、前年同期を上回った。化学品セグメントの営業利益は、エッセンシャルケミカルズ事業での減収や設備修繕に伴う製造原価悪化などの影響で、減益となった。営業利益構成比はエッセンシャルケミカルズ事業が約2割で、パフォーマンスケミカルズ事業が約8割だった。

化学品セグメントの通期業績
化学品セグメントの通期業績[クリックで拡大] 出所:AGC

 ライフサイエンスセグメントの売上高は同81億円減の1331億円で、営業利益は同11億円減となる223億円の損失を記録した。売上高に関しては、合成医農薬CDMO事業は堅調に推移したが、バイオ医薬品の製造受託(CDMO)事業で前期に計上した受託案件精算に伴う一時収入の剥落や、米国コロラド拠点の閉鎖などにより、前期同期を下回った。

 営業利益については、バイオ医薬品CDMO事業の米国拠点における固定費削減施策などの効果が発現したが、前述の減収要因に加え、前期に欧州で稼働を開始した増設設備による固定費増加などで、減益となった。

化学品セグメントの通期業績
化学品セグメントの通期業績[クリックで拡大] 出所:AGC

2026年は化学品セグメントが増収増益の見込み

 2026年における国内外の経済は、AI(人工知能)関連投資の拡大や主要国における金融環境の緩和を背景に、緩やかな成長基調を維持する見通しだ。一方で、中東情勢や資源価格の変動に起因する地政学リスクは依然として市場の不安定要因であり、地域ごとに異なる構造的課題と合わせて、先行きについては不透明感が残っているという。

2026年の主要経済/市場におけるAGCの想定
2026年の主要経済/市場におけるAGCの想定[クリックで拡大] 出所:AGC

 中国では内需の弱さや不動産市場の調整が続いており、欧州でも個人消費の弱さに加え、米国の通商政策や中国経済の減速による外需悪化が重なり、景気停滞が継続する見通しだ。米国では、民間投資が景気を下支えし、底堅く経済が推移するが、インフレ動向を踏まえた慎重な金融政策の運営が続くと見込まれている。日本については、賃上げを背景とした個人消費の底堅さが期待されるものの、成長ペースは限定的なものとなる可能性があるという。

 このような中で同社は、2026年12月期の売上高は同1412億円増の2兆2000億円で、営業利益は同225億円増の1500億円を見込んでいる。

2026年12月期の通期業績見通し
2026年12月期の通期業績見通し[クリックで拡大] 出所:AGC

 セグメント別では、建築ガラスセグメントの売上高は同389億円増の4800億円で、営業利益は同27億円増の200億円になる見通しだ。アジア事業では、タイとインドネシアでの需要回復により出荷数量が増加すると見ている。価格政策や生産性改善の取り組みも継続する。欧米事業では、欧州での景気低迷が継続し、出荷数量の回復は限定的となるが、価格水準の維持やコスト削減に注力する考えだ。

セグメント別の2026年12月期の通期業績見通し
セグメント別の2026年12月期の通期業績見通し[クリックで拡大] 出所:AGC

 オートモーティブセグメントの売上高は同106億円減の5100億円で、営業利益は同27億円増の320億円になると見込んでいる。同セグメントでは、自動車生産台数の減少により出荷数量が減る見通しだ。これに対して、品種構成改善や価格政策、構造改革と生産性向上に向けた取り組みを継続する。

 電子セグメントの売上高は同49億円増の3600億円で、営業利益は同25億円減の450億円となる見通しだ。ディスプレイ事業では液晶用ガラス基板の出荷数量がやや減少すると見ている。これに対して収益改善施策を継続する。電子部材事業では、EUV露光用フォトマスクブランクスなどの半導体関連部材の出荷数量が増加するが、オプトエレクトロニクス用部材の出荷数量が前期並みとなる見通しだ。

 化学品セグメントの売上高は同958億円増の6800億円で、営業利益は同30億円増の560億円になると見込んでいる。

 日本国内のクロールアルカリやウレタン製品事業と、主に日本に開発/製造機能を置く機能化学品事業を統合した新たな戦略的ビジネスユニットであるインテグレイテッドケミカルズ事業では、エレクトロニクス向けなどのフッ素関連製品や、クロールアルカリ製品の出荷数量が増加する見通しだ。東南アジア地域のクロールアルカリ事業であるエッセンシャルケミカルズ東南アジア事業では、増設設備の本格稼働により出荷数量が増えると見ている。

 同社 代表取締役 兼 社長執行役員 最高経営責任者(CEO)の平井良典氏は「千葉工場(千葉県市原市)で基本的なフッ素製品の生産能力増強を進めている。北九州工場(福岡県北九州市)での水素生産に関して、2024年以降、欧州を中心に環境に対する姿勢が大きく変わり、『水素社会の到来は時間がかかる』と市場から声が上がっていることを踏まえて、遅らせる」と述べた。

設備投資額、減価償却費、研究開発費の見通し
設備投資額、減価償却費、研究開発費の見通し[クリックで拡大] 出所:AGC

 ライフサイエンスセグメントの売上高は同269億円増の1600億円で、営業利益は同173億円増の50億円の損失となる見通しだ。同セグメントでは、合成医農薬CDMO事業が、増設設備の稼働開始により売上高が増えると見ている。バイオ医薬品CDMO事業は、売上高増加に加え、米国コロラド拠点閉鎖により赤字が縮小する見込みだ。

戦略事業の売上高と営業利益の見通し
戦略事業の売上高と営業利益の見通し[クリックで拡大] 出所:AGC

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